トラフグの特徴・生態!生息地や毒性など

この記事では高級食材のひとつとして知られる「トラフグ」の特徴や生態をご紹介していきます。

トラフグは食用として出回るフグ類の中でもっとも高値で取引される魚です。

とはいえ、近年では養殖が盛んにおこなわれていて、昔よりは手が出しやすい価格になっています。

ここでは、そんな一度は食べてみたいトラフグの生息地や美味しい食べ方などをまとめてみました。

ほかにもトラフグに含まれる毒性やトラフグの旬の時期、産卵方法やマフグとの違いを解説していますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

トラフグとは?

トラフグは「フグ目フグ科トラフグ属」に分類される魚です。

成魚は最大で70cmくらいまで成長しますが、食用として出回っている2〜3年もののトラフグの大きさはだいたい35cm〜40cm程度となります。

なお、体重は最大で10kg程度、一般的なものだと1〜3kgくらいです。

胸ビレの上側やや後方に白く縁取られた大きく黒い斑模様があり、これによって他のフグとの見分けが付きます。

ちなみに背ビレは黒く、臀鰭は白もしくは赤みを帯びた白色をしています。

また、トラフグは外敵から身を守るため、他のフグと同じように身体を膨らませることが可能です。

腹部のあたりが膨らんでいるときはトラフグが警戒していることを表しますので、取り扱いには注意しましょう。

トラフグは噛む力が非常に強く歯も鋭いため、噛まれた場合には人間でもケガを負います。

同じトラフグ同士でケンカをすると相手に大きなダメージを与えてしまうので、漁獲後はすぐに歯を折る作業がおこなわれているほどです。

マフグとの違い

食用のフグ類の中で、トラフグと並び高級食材として扱われているのがマフグです。

近年、市場に出回るトラフグの多くは養殖ものですが、マフグは基本的に天然もののみとなります。

そんなマフグの体長は30cm〜40cmほどで、全体的に見ればトラフグよりもやや小型サイズです。

とはいえ、身体は小さくても味の方はトラフグに匹敵するほどで、一説にはトラフグよりも旨み成分が多いとされています。

なお、トラフグとマフグはどちらも「トラフグ属」に分類される魚で、同じ毒性を持っています。

特に卵巣や肝臓は猛毒を含み、血液にも強い毒を持つので素人が捌くことは大変危険です。

ちなみに最近は北海道・初村別村のマフグが知名度を上げていて、同地域ではマフグ料理(天然マフグ照り焼き丼や天然マフグ出汁ラーメンなど)による村おこしがおこなわれています。

トラフグの旬は秋から冬の期間です。

昔からフグは「秋の彼岸から春の彼岸まで」が美味しい時期と言われていますので、トラフグを食べるなら9月下旬〜3月中旬ごろがおすすめとなります。

産地

食用のトラフグは沖縄県以外の全国各地で水揚げされています。

特にフグといえば山口県が有名ですが、宮崎県もフグの産地として知られています。

ただし、フグ全体の漁獲量で考えた場合、もっともフグを水揚げしているのは北海道です。

次いで石川県、宮崎県、山口県といった順番になっています。(2020年データ、養殖は含めない)

また、近年では駿河湾や伊勢湾などでもトラフグ漁がおこなわれていて、関東周辺で獲れたトラフグも市場に出回っているとのことです。

トラフグの特徴・生態

ここからはトラフグの生息地・毒性・産卵方法といったより詳しい生態をご紹介していきます。

「トラフグの毒はどれくらい強力なのか?」「天然のトラフグはどうやって繁殖しているのか?」などの疑問を持つ方は、こちらをぜひご覧ください。

生息地

トラフグの生息地は太平洋の北西部から日本海にかけた海域です。

そのほか東シナ海や黄海などにもトラフグは生息しています。

なお、トラフグが生息できる北限は日本の北海道あたりです。

基本的には水深150〜200m以内の浅い海に生息していますが、成魚になるまでは河口付近の汽水域にいることもあります。

ちなみにトラフグを含め、フグ類の多くは泥質の海底に隠れているゴカイなどをエサとして食べています。

この際、体内に摂り込んだ海水を一気に吹き出して泥を飛ばし、エサを見つけることから「吹く」⇒「フグ」と呼ばれるようになったという説もあるそうです。

※そのほか身体が「瓢箪(ふくべ)=ひょうたん」に似ていることから「ふくべ」⇒「フグ」といった説もある。

毒性

「フグ=毒を持っている」といったイメージがありますが、トラフグも毒を持つフグの一種です。

トラフグに含まれる毒は他のフグ類と同じ神経毒の「テトロドトキシン」で、特に卵巣と肝臓の毒素はとても強力です。

そのほか血液や腸に毒が含まれていますが、食用として扱われる筋肉(白身の部分)と皮膚は無毒となっています。

そんなトラフグが持つテトロドトキシンはヒョウモンダコやツムギハゼにも含まれている毒であり、人間が摂取した場合の致死量は0.5〜2mg程度とされています。

分かりやすくいえば「青酸カリの数百倍」という強い毒性なので、間違って食べてしまった場合にはほぼ確実に助かりません。

また、テトロドトキシンはクラゲなどが持つタンパク質毒素と異なり、熱に強いといった特徴があります。

300℃以上の加熱でもその毒性はなくならないため、フグの調理と提供には免許が必要となっているわけです。(少しでも血液が付着していた場合、仮に鍋料理にしても毒性は消えない)

養殖のトラフグは無毒?

トラフグは生まれたときから毒を持っているわけではありません。

幼魚〜成魚となる過程で食べるものに毒が含まれているため、成魚になった段階では強い毒性を持ってしまうそうです。

こうした過程を踏まえ、最近では養殖によって毒を持たないトラフグの生産が盛んにおこなわれています。
※毒性のある食べ物を与えなければトラフグが毒を持つこともない。

猛毒であるフグの卵巣を使った食べ物

石川県の郷土料理にはフグの卵巣を糠漬けにした食べ物があります。

トラフグを含め、フグの卵巣は猛毒を持つ部位であり、普通は決して食べられません。

しかし、石川県に伝わる「フグの卵巣の糠漬け」は、長い間フグの卵巣を糠に漬けることで食用可能なレベルまで毒素が分解されているそうです。

なお、なぜ糠に漬けることでフグ毒が分解されるかは未だ解明されていません。

産卵

トラフグの産卵時期は3月〜6月ごろです。

海水の温度が上がるとメスのトラフグは浅瀬に約100万個前後の卵を産み落とします。

そこにオスのトラフグが放精することで繁殖がおこなわれているそうです。

なお、トラフグの主な産卵場所には有明海や博多湾、若狭湾などが挙げられます。

トラフグの食べ方・味

トラフグは白身の魚で、とても引き締まった食感と味わいを魅力としています。

そんなトラフグの食べ方としては「刺身(テッサ)」「フグちり鍋(テッチリ)」が一般的です。

身を乗せた皿の模様が透き通って見えるほど薄く引く(捌く)ところが醍醐味であり、他の魚の刺身とは違った趣と味わいが感じられます。

また、トラフグの精巣には毒がないため、その白子を使った「白子酒」も絶品です。

まとめ

フグの中でも特に高価な「トラフグ」の特徴や生態をご紹介してきました。

ご覧いただいた通り、トラフグには致死性の毒が含まれています。

少しの量でも体内に入り込んでしまうと命を落とす危険性があるので、万が一釣れた場合でも自分で捌かないようにしましょう。

トラフグを食べる際は実績と信頼性のある専門料理店で味わってください。

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