駿河湾の特徴とは?深い理由や生息している魚について

日本列島の中央に位置する静岡県・伊豆半島の先端にある石廊崎と御前崎を結んだ線より北側の海域を駿河湾と呼びますが、その水深はもっとも深いところで2500mに達します。

この記事では、そんな「日本でもっとも深い湾」として知られる駿河湾について詳しくまとめました。

駿河湾の海底はなぜ深くなっているのか?といった部分をはじめ、駿河湾で獲れる魚介類の種類や景勝地に関する情報をご紹介していきます。

周りが海で囲まれた日本には様々な海域が存在していますが、駿河湾は世界的に見ても貴重な海域です。

そんな駿河湾が誕生した経緯や名前の由来などをぜひご覧になっていってください。

駿河湾とは?どこにある?

静岡県伊豆半島の南側にある石廊崎と御前崎を結ぶ線より内側の海域が「駿河湾」です。

石廊崎と御前崎の直線距離は約56㎞で、その奥行は約60㎞となっています。

駿河湾に接するところには三島市・富士市・静岡市・焼津市・牧之原市・御前崎市などがあり、漁業が盛んなことでも有名です。

なお、駿河湾の「駿河」という名前が生まれたのは7世紀のことで、当時の朝廷が現在の静岡県中部と東部の地域を合併したときに名づけられました。

その由来は諸説ありますが、富士山からの雪解け水が川となり、海に激しく流れ落ちる様子が「駿馬の如き(川)」であることから「駿河」と命名されたそうです。

そんな駿河湾は日本でもっとも深い湾として有名で、相模湾・富山湾と並び「日本三大深湾」のひとつに数えられています。

ちなみに日本で2番目に深い相模湾の水深はおよそ1500m、3番目に深い富山湾はおよそ900mなので、最水深2500mを誇る駿河湾の深さは圧倒的とも言えるでしょう。

また、駿河湾は日本三大深湾の中でもっとも面積が広い海域でもあります。

そのため、海水の体積自体が多く豊富な漁場となっているところも大きな特徴のひとつです。

ということで、次にそんな駿河湾が誕生した経緯や海底が深い理由について見ていきましょう。

駿河湾の海底地形と深い理由

駿河湾が誕生したのはおよそ60万年前と言われています。

当時、日本の南側およそ数百㎞先にあったフィリピン海プレートが地殻変動の影響で北側に移動した際、日本列島とぶつかりその衝突によって生まれたのが駿河湾です。

フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜り込んで形成される「駿河トラフ」が通ることで、駿河湾はほかの海底より際立つ深さになったと考えられています。

その水深はもっとも深いところで2500mを記録し、先ほども触れたように日本では1番深い湾として有名です。

ちなみにフィリピン海プレート上には海底火山群があったのですが、日本列島とぶつかったことによりその海底火山群が地上へと隆起したのが現在の伊豆半島とされています。

このように地球のプレートが移動したことによって誕生したのが駿河湾です。

駿河湾の特徴は海底の地形が非常に激しく勾配しているところで、富士山の河口部にあたる内側のエリアでも海岸からほんの少し離れれば水深が500mに達します。

また、湾の内側から湾口にかけては水深1000mクラスの海底峡谷が形成されていて、そのダイナミックな地形は世界的に見ても関心の高いものとなっています。

なお、この海底峡谷は南側へと続き、九州を抜けて台湾まで続いているとのことです。

こうした特徴的な海底地形をしている理由にはやはりフィリピン海プレートが大陸側のユーラシアプレートの下に沈み込んでいる点が挙げられますが、前述した駿河トラフは深さ4000mクラスの深い溝を形成する「南海トラフ」に続くトラフであり、プレートがより深く沈み込んでいることが駿河湾の水深に強く関わっています。

そして、駿河湾の地形や位置、深さというのは海洋生物にも大きな影響を与えているわけですが、次に駿河湾に生息する魚たちに関する情報をご紹介していきましょう。

駿河湾は魚の宝庫

駿河湾

駿河湾は日本有数の漁場としても有名です。

日本の海や川には海水魚・淡水魚合わせて2300種類ほどの生物が生息していると言われていますが、駿河湾にはそのうち4~5割にあたる1000種類~1200種類の生物が生息しています。

これにはいくつかの理由と要因が考えられますが、そのポイントを分かりやすく説明していきましょう。

豊富な海藻

駿河湾に面する伊豆半島の沿岸部ではテングサやガラモ、アマモなど数多くの海藻が育っています。

このように伊豆半島は藻場の数が日本でも最多と言われるほど海藻が豊富なのですが、こうした藻場は小さな海洋生物が生息するのに最適な場所です。

ちなみにサザエやウニ、アワビなどはこうした海藻類をエサとするため、駿河湾では貝類なども多く獲れます。

また、小さな海洋生物が多く生息するところは他の魚などにとってもエサが確保しやすい海域となるため、結果として多種多様な生物が駿河湾に住み着いているというわけです。

なお、駿河湾に面する御前崎の海岸ではアカウミガメの産卵も見られますが、それだけ海の質自体も高いということが分かります。

3種類の深層水

水深が非常に深い駿河湾には「太平洋系」「黒潮系」「亜寒帯系」という3つの深層水が存在しています。

この深層水は「低温安定性」に優れ「栄養性」にも富み、また浅い海水と混じり合わないことから「清浄性」も高いというのが特徴的な部分です。

太陽の光が届かない深海では植物プランクトンが光合成をおこなわないので、海の水がそのままの状態で体積しています。

近年では3つの深層水のうち比較的上部に存在する「黒潮系深層水」を医療品や食料品に活用する研究も盛んにおこなわれていますが、それだけ駿河湾の海水は質に優れているということです。

そして、こうした理由からも多くの魚たちが健康に育っていきやすいと言えます。

富士山からの湧水

富士山には年間およそ25億トンの雨や雪が降ると言われていますが、この降り注いだ雨や雪が大地でろ過され海へと流れ込むというのも駿河湾の特徴です。

富士山の雪解け水には豊富な栄養が含まれていますので、海洋生物にとっても繁殖・生息がしやすい環境となっています。

ちなみに駿河湾では食卓でもよく見かけるサクラエビが獲れますが、サクラエビを漁獲対象としているのは駿河湾だけです。

そのほか世界一大きいカニとして知られるタカアシガニや深海に住むシンカイザメなど、希少な海洋生物が生息しているのも駿河湾ならではの特徴となっています。

もちろんアジやヒラメ、ゴマサバやイワシといった一般的に知られる魚の漁獲量も豊富であり、駿河湾は日本の漁業を支える役割を果たしています。

駿河湾沿岸の景勝地

駿河湾の沿岸部には多くの景勝地もありますが、そのうち代表的な2つをご紹介していきたいと思います。

黄金崎

黄金崎

西伊豆の名所として知られるのが「黄金崎」です。

夕日を浴びた姿が黄金色に輝くことからその名前が付けられています。

黄金崎では遊歩道の散歩や展望台からの眺望を楽しむことが出来ますが、実はダイバーからも非常に人気です。

黄金崎のある海岸は魚の種類が豊富で、国内では有数のダイビングスポットとして関心を集めています。

燈明ケ崎

浮島海岸と田子瀬浜海岸を結ぶコースを「燈明ヶ崎遊歩道」と呼びますが、こちらも伊豆を代表する景勝地のひとつです。

全長はおよそ3.2kmで、途中にある2か所の展望スペースでは南アルプスまでの絶景を望むことが出来ます。

また、浮島海岸ではダイビングやシュノーケリング、他の海岸沿いでは磯釣りなどが楽しめますので、1日いても飽きない観光スポットとなっています。

目の前に広がる群青色の海を眺めるだけでも十分に満喫できるため、ぜひ一度訪れてみてください。

まとめ

日本でもっとも深い湾として知られる「駿河湾」に関する情報をご紹介してきました。

ご覧いただいた通り駿河湾は魚たちが豊富な漁場としての役割を持っています。

また、駿河湾が誕生したときに形成された伊豆半島にはたくさんの景勝地があり、観光スポットとしても人気です。

旅行先に選べば観光とグルメの両方が楽しめますので、ぜひ参考にしてみてください。

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