サーフィンを趣味にするというのは、色々な病気にも気を付けなければいけないということでもあります。世の中には実にいろいろな病気がありますが、中でもサーファーに多い病気というのが「翼状片」です。
一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、サーファーの方であれば一度くらいは聞いたことがあるかもしれませんね。
ここでは、そんな「翼状片」について詳しく解説をおこなっていきます。翼状片の原因や治療方法、また予防法などについても触れていますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。
なお、翼状片は放っておくと失明の危険性もある病気ですので、少しでも違和感を覚えた場合はすぐに眼科を受診しましょう。
翼状片はサーファーがなりやすい目の病気
サーファーにはいくつかなりやすい病気というものがありますが、翼状片もそのひとつです。
翼状片という病気を簡単に説明しますと、「(鼻側の)白目内部の結膜が角膜に向かって、血管が盛り上がるようにして組織増殖をおこした状態」のことを指します。
つまり白目の内側部分に腫瘍が出来ている状態ということです。なお、翼状片は目の中にある太い血管に作用しますので、常に目が充血しているように見えるというのが特徴的な部分でもあります。
よく「サーファーが海から上がってきたあと目が真っ赤」という姿を見かけますが、これは少なからず白目の結膜部分がダメージを負っている証拠です。
ちなみに白目というのは組織構造の下から強膜・テノン嚢・結膜という順番で構成されています。
この三層構造の白目に何かしらの刺激を与えると、テノン嚢と結膜が癒着し、表面の角膜にまで盛り上がったような症状が現れます。
これが翼状片の起きる仕組みです。
もちろん翼状片はサーファーにだけ発症する病気ではありませんが、サーファーに多く見られる病気ではあります。そこで、なぜ翼状片に罹るサーファーが多いのか?その原因をご紹介していきたいと思います。
翼状片の原因は紫外線?
実はこの翼状片という病気は「何が原因で発症するのかが、正確には分かっていない」とされています。
ただし、多くの臨床データに基づく結果としては「紫外線を過度に浴びる」と翼状片になりやすいとのことです。
サーファーは海にいるとき常に目を紫外線にさらしている状態であり、さらに海水などによる刺激や菌も発症リスクを高めるとされています。
つまり、非常に翼状片になりやすい状況が揃っているのがサーファーということです。通常、紫外線による角膜の炎症というのは常時修復されていくものです。
しかし、この炎症からの修復という作業が慢性化するうちに修復が間に合わなくなっていくというのが翼状片発症のメカニズムといわれています。
分かりやすく言えば、かさぶたが取れる前にキズを負うことで、そのかさぶたがさらに大きくなってしまうような状態ということですね。
なお、炎症で発生した細胞が変化して白目を覆い、それが黒目の部分にまで達すると失明の危険性もあります。
また、失明までいかなくても乱視を引き起こす原因となり、視力低下にもつながりますので早めの治療が必要です。
ちなみに紫外線以外の原因だと、パソコンやスマホなどを長時間・近い状態で見続けると発症リスクが上がるともされています。
趣味でサーフィンをしていて、仕事がIT系などの場合だとリスクがさらに倍になりそうなので、十分に目の休息時間は取るようにしましょう。
次に、翼状片の疑いが持たれたらどういった治療をおこなっていくのか?という点を見ていきたいと思います。
翼状片の治療法
翼状片の治療方法は進行スピードや症状の規模によって異なります。基本的には点眼薬による治療となりますが、ひどい場合には手術も必要です。
そこで、それぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。
目薬
翼状片の症状というのは大きくさえならなければ、特に放っておいても問題はありません。というのも、普通に充血している分には、それは目の内部で自己修復をおこなっている状態だからです。
しかし、その症状が大きくなりすぎてしまうと手術が必要となってしまいますので、治療法としては主に点眼薬を使うことが多いとされています。
なお、このとき処方されるのは充血を抑えるための抗アレルギー剤配合の点眼薬やステロイド系の点眼薬です。
もちろん眼科で処方されるものの方が効果的ですので、市販の目薬で様子を見るよりも先に眼科を受診するようにしましょう。
手術
翼状片の手術には色々な種類がありますが、おおまかな内容は同じですのでその方法をご紹介していきます。
まず翼状片の手術は、角膜から翼状片組織をはがす必要がありますので、白目部分の結膜下から翼状片組織を切除します。
その後に、切断した結膜部分の周囲における結膜組織を覆い縫合していきます。これが非常に一般的な翼状片手術の流れです。
手術をすると術前にあった充血・白目の盛り上がりといった症状がキレイに取れるケースが多く、基本的にはそこまでリスクの高い手術ではないといわれています。
しかし、若い人やそもそも翼状片症状がひどい人の場合は、キレイに翼状片組織が取れたとしても再発をすることが多いようです。
ちなみに再発をする原因については縫合をする際の糸の太さなども関係しているという話がありますが、翼状片の発症原因と共に詳しくはまだ解明されていません。
翼状片手術の場合、縫合する際の糸を細いものにして自然に吸収される方法と、太い糸で縫合をして抜糸をする方法の2種類がありますが、この方法の選択によっても再発リスクが変わってくるようです。
ただし、最近では研究も進んできていて、発症した翼状片を切除したあと、翼状片組織細胞の増殖を抑える薬をさらに投与することで再発防止に取り組んでいます。
これにより再発のリスクというのはだいぶ抑えられるとのことですが、もちろん術後の生活サイクルも関係してきますので、しばらくはサーフィンも控えた方がいいでしょう。
翼状片の予防法
それでは最後にサーファーが翼状片を予防する方法についてご紹介していきたいと思います。
とはいっても翼状片を予防するためには「なるべく紫外線に目をさらさないようにする」「あまり汚い環境の海には入らないようにする」といったことくらいしか手立てがありません。
ただし、海から上がっているときは可能な限りサングラスをするというのも効果的な予防法とされていますので、なるべく陸にいるときはサングラスをするようにしましょう。
また、一度翼状片に罹った方の場合は、眼科でもらった目薬をサーフィン後に点すというのも予防法のひとつとしておこなってみてください。
とにかく目に対して刺激を与えた分だけ翼状片の発症リスクは上がると言われています。
目に対して出来るだけダメージを与えない、ダメージを残さないことが予防の第一歩ですので、サーフィンをよくするという方は覚えておきましょう。
サーファーは翼状片に要注意
サーファーの方が発症するケースが多いとされる翼状片という病気についてご紹介してきました。
翼状片は一応「良性腫瘍」ということにはなっていますが、放置しておくと乱視や視力低下に繋がる病気です。
そのため、自分の中で違和感を覚えたらなるべく早めに眼科へ訪れることをおすすめします。