白潮の原因と影響|赤潮・青潮についても

サーフィンや釣りを趣味としている方や海の周辺に住んでいる方の中には、海を見たときに「いつもと海の色が違う」と感じる方もいるかと思います。

ちなみにそれは赤潮や青潮といったものが原因であることが多いのですが、ごくまれに「白潮」という現象が原因で海の色が変わることもあります。

しかし、赤潮や青潮はなんとなく聞いたことがあるけれど白潮というのは聞いたことがないという方も多いでしょう。

そこで、この記事では日本でごくまれに発生する「白潮」という現象について解説をしていきます。

こちらを読めば、「白潮とは何か?白潮が発生する原因は?」といった疑問が解消できますので、ぜひ参考にしてください。

白潮とは?

先に結論から言いますと、白潮というのは赤潮の一種であり、植物性プランクトンが大量に発生することで海の色が変わる現象のことを指します。

植物性プランクトンには様々な種類が存在するのですが、東京湾などでも観測されている赤潮は赤い色をした植物性プランクトンが大量に発生することで海が赤く見えるようになります。

これに対して白潮は「円石藻(えんせきそう)」と呼ばれる白い色をした植物性プランクトンが大量に発生することで起こる現象です。

円石藻は細胞の表面に円石と呼ばれる円盤型の構造を持つのですが、これが炭酸カルシウムで出来ていることから全体が白く見えます。

この白く見える要素を持つ円石藻が大量に発生することで、海が白く濁って見えたり海の青色と混ざって緑色に見えたりするわけです。

ちなみに、白潮が発生すると海の色が海外の海のようなエメラルドグリーン色をするときもあります。

そのため、なんとなくキレイに見えがちなのですが、海の色がいつもと違うというのはあまり良くないことなので、泳いだり釣りをしたりするのは避けた方が賢明です。

白潮が発生する原因

白潮が発生するのは海水温が高い南の方の海から黒潮に乗って大量の円石藻が流れ込んでくることが原因とされています。

本来、円石藻は栄養の貧しい海に多く生息するとされているので、日本近海のように栄養素が豊富な海ではあまり見かけません。

しかし、平均的な気温が高い年などには黒潮の流れに乗って外洋から近海に流入してくることが稀に起こります。

ちなみに日本でこれまでに白潮の発生が確認されたケースはごくわずかです。

一例を挙げますと1995年に東京湾と相模湾、2004年・2007年に博多湾、2020年に相模湾で白潮が発生しています。

1995年の東京湾・相模湾で発生した白潮も規模としてはなかなか大きなものでしたが、2007年に博多湾で発生した白潮は視界不良となるほどの規模だったそうです。

そして、2020年5月に相模湾で発生した白潮がこれまでにおいてもっとも大規模な白潮となっているのですが、このときは地球観測衛星から見ても海の色が変わって見えるほどでした。

つまりそれほど大量の円石藻が発生していたということです。

なお、こうした白潮が発生しやすい海域とは赤潮を発生させる植物性プランクトンが少なく、海水温が比較的温かな場所とされています。

また、海流が留まりやすい場所だとプランクトンたちも一か所に定着しやすいので、白潮や赤潮といった現象が起こりやすいようです。

そのため、やはり湾状になっている海では白潮が発生する可能性が高くなっています。

実際に上記の過去の事例を見ても東京湾・相模湾・博多湾といった海域で白潮は発生していますので、今後も白潮を見かけるとすれば同様の場所で起こると言えるでしょう。

そんな白潮ですが、実際に発生するとどんな影響があるのか?というのも疑問に感じる部分です。

そこで、次に白潮が海や人にどういった影響を与えるのかを見ていきたいと思います。

白潮による影響

白潮の発生は、その海域に大量の植物性プランクトンが留まっていることを意味します。

植物性プランクトンが大量にいる海では魚などが生息しづらくなり、多くの海洋生物が死ぬことになります。

この原因には魚のエラにプランクトンが詰まることや酸素濃度が低下することが挙げられるのですが、過去にはプランクトンの大量発生で養殖の魚たちが数十億円分ほど死亡するといったケースもありました。

こういったことから白潮は漁業関係者から嫌われているのですが、白潮は単純に人間にとってもあまり良いものではありません。

というのも、植物性プランクトンは目に見えないレベルの小さな生物ですが、人体の表面に付着すればアレルギー反応を引き起こすこともあります。

また、肌質が弱い人であれば肌に炎症が起きたり皮膚がただれたりするので注意が必要です。

もちろん白潮が発生している海で泳いだりサーフィンをしたりすれば口や鼻から海水ごと円石藻を体内に入れることになります。

円石藻は人体にとってただちに危険な症状が出るほどの生物ではないものの、大量に摂取すればどうなるか分かりません。

そのため、海の色がいつもと違うと感じたらサーフィンや釣りをすることは控えた方がいいと言えるでしょう。

赤潮・青潮とは?

赤潮と青潮が混ざっている海

赤潮と青潮が混ざっている海

ここまで白潮に関する情報をまとめてきましたが、白潮と同じ現象である赤潮や似たような現象である青潮についても軽く触れておきたいと思います。

赤潮というのは工業排水や生活排水に含まれる養分をエサとする植物性プランクトンが原因で発生するものです。

そのため、排水が流れ着く河口周辺などでよく起こります。

なお、日本の場合だと川から流れた排水が海へと続いていきますので、どの地域でも発生する可能性があります。

ただ、植物性プランクトンは光合成によってエネルギーを生み、日照時間が長く海水温が高い海域ほどその数を増やすとされていますので、基本的には温暖な地域で発生することが多いです。

また、先ほど白潮の説明でも伝えましたが、プランクトンの大量発生は海流が留まるところでよく起きます。

日本でこれまでに赤潮が発生している地域を見ると有明海、瀬戸内海、東京湾、伊勢湾、大阪湾といったところが挙げられるのですが、まさに「温暖な地域」で「海流が留まりやすい湾状の海域」という共通点があるわけです。

次に青潮という現象ですが、これは大量に発生した植物性プランクトンが死滅することで起こります。

簡単に言いますと死滅したプランクトンがバクテリアによって分解され、その際に生成される硫黄酸化物が青色をしていることから海が青く見えるわけです。

なお、青潮は赤潮や白潮と違ってプランクトンが死滅した状態の海を指しますので、異臭を伴うケースが多く見られます。

つまり海がいつもより臭くて青く見えるときは青潮が発生しているということです。

また、結果として漁業における不漁にも繋がりますので、漁師からは赤潮・白潮同様にとても嫌われています。

どちらにしても大量のプランクトンが異常に発生することで起きる現象ですから、青潮の際も海には近づかないようにしましょう。

関連記事:赤潮・青潮の原因は?サーフィンはできる?

まとめ

海の色が白く濁って見える「白潮」という現象について解説をおこなってきました。

白潮は赤潮と同じように植物性プランクトンの大量発生によって海の色が変化して見える現象で、海の生物や人にとってあまり良い状態とは言えません。

また、そうした白潮や赤潮が発生したあとには青潮といった現象も起こります。

これらの発生原因を一概にまとめることは出来ませんが、海水温が上昇してきていることもひとつの要因となっているようですので、なるべく海水の温度が高くならないようエコな生活を心掛けることも大事と言えますね。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事