流氷とは何?でき方や見られる場所は?地球温暖化による影響についても

この記事では「流氷とは何か?」「流氷はどこからやってくるのか?」といった疑問を解消するために様々な情報をご紹介していきます。

流氷とは海に漂う大きな氷の塊を指す言葉です。

日本で流氷が見られるのは北海道の一部エリアのみで、冬の時期しかその姿を観測することはできません。

そんな流氷の上では特定の動物や鳥類たちが生活を営み、昔から独自の生態系を維持してきています。

ここでは、そういった生き物たちにとって必要不可欠な流氷に関する知識や情報を詳しくまとめてみました。

また、流氷が見られる場所や温暖化の影響で流氷がどうなっていくのかといった部分も解説していきますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

流氷とは何?

流氷とは海の中を漂流している「氷の塊」のことです。

基本的には海水が凍って固まったものを流氷と呼びますが、広義においては海に流れ出ている川の水が凍ったものや氷山が崩れて出来たものも流氷として扱われています。

なお、海水が凍って出来た氷の塊のうち岸から離れたものを「流氷」と呼び、岸にくっ付いたままの氷は「定着氷」と呼びます。

そんな流氷が漂っているのは北極海や南極海といった高緯度な海域のみです。

また、日本で流氷が観測できるのは稚内から知床にかけて広がるオホーツク海だけとなっています。

北海道で流氷が見られる理由

北海道は流氷が見られる海域の南限です。

つまり同緯度の海域では唯一流氷が見られる環境と言えます。
(同じ緯度でもヨーロッパの海域では流氷が見られない)

・北海道の北部はシベリアからの冷たい風によって低い水温を維持しやすい環境となっている。
・オホーツク海の海水面(水深が浅いところ)は塩分濃度が比較的低いため水分が凍りやすい。
・オホーツク海(稚内~知床)は湾状になっていることから冷たい海水や流氷を留めやすい。

なぜ低緯度の北海道で流氷が見られるのか?という疑問の答えは上記の通りです。

ご覧のように北海道のオホーツク海側は偶然にも「流氷が発生しやすい」「流氷を留めておきやすい」といった地理的条件を満たしています。

こうした理由から北海道では毎年流氷が見られるわけです。

流氷が出来上がるプロセス

本来、水というのは0℃で氷になりますが、海水の場合は塩分が含まれているためマイナス1.8℃くらいにならないと凍りつきません。

また、潮流によってたえず動いている海水が完全に凍るまでには相応の時間が必要となります。

こうした条件をクリアし、海水が凍って流氷になるまでのプロセスを簡単にまとめてみました。

1.全体の海水温がマイナス1.8℃を下回る
2.海水中の真水部分だけが凍っていく
3.薄い氷の板が作られていく
4.氷の板が海水面を覆っていく
5.海水面を覆った氷の板の底から更に海水が凍り付いていく
6.氷の板同士がぶつかり合いながらも厚い氷の板を形成していく

こうした形で完成した流氷は厚さが30cm~2m以上になり、その厚さによっては1年だけでなく翌年以降も残ることがあります。

流氷はどこからくる?時期は?

北海道のオホーツク海側で見られる流氷は、もともとロシアのアムール川付近の海水が凍って出来上がったものです。

つまり、アムール川の河口近くで凍った流氷がシベリアからの風や潮流によって南下してきて、最終的にオホーツク海までやってくるということです。

なお、流氷が見られる時期は毎年1月~3月ごろとなっています。

毎年1月~3月ごろになると流氷を見るツアーなどが実施され、北海道の一部エリアでは大きな賑わいを見せます。

ちなみに北海道の観測地点からその年初めて流氷を確認できた日を「流氷初日」と呼びますが、これは例年だいたい1月下旬ごろです。

流氷が見え始めてから1週間から2週間ほど経過すると流れてきた流氷が北海道の沿岸部に接岸し、そこから3月ごろまでが流氷のシーズンとなります。

そして、3月以降だんだんと暖かくなってくると流氷が溶け出して流氷の見ごろが終わっていくわけです。

流氷が見られる場所

北海道の中で流氷が見られるのは稚内~知床といったオホーツク海に面したエリアです。

具体的には稚内・紋別・網走・羅臼・知床といった地域となりますが、ごく稀に北海道の東部をさらに南下し釧路まで流氷が流れ着くこともあります。

なお、オホーツク海に面したエリアでもっとも流氷がよく見られるのは「知床」です。

知床はオホーツク海に突き出るような形をしていて、いち早く流氷が接岸するエリアとなっています。

また、最初の流氷が接岸した後も新しい流氷がどんどん辿り着いてくるため、結果的に流氷の密度が高くなるところも知床ならではの特徴です。

そんな知床の「ウトロ」と呼ばれる地区には「流氷の先に沈む夕日」が見られるスポットもあり、近年とても注目を集めています。

特にウトロ中心部から比較的近いところにある「プユニ岬」は非常に人気です。

そのほか、網走や紋別では砕氷船に乗って流氷観光ができるツアーなどが実施されていますので、流氷に興味がある方はぜひチェックしてみてください。

※他にも流氷の上を歩く「流氷ウォークツアー」や流氷の下に潜る「流氷ダイビング」などが開催されている

流氷にいる生き物

流氷はただ海の上を漂っているだけではなく、特定の生物にとっては「生活の場」としてなくてはならない存在となっています。

そんな流氷の上で生活する代表的な生き物が「アザラシ」です。

アザラシは外敵から身を守るために、他の生き物があまり多くない流氷の上で生活を送っています。

2月~3月ごろの北海道では流氷上のアザラシが見られるようになりますが、こうした生き物を見るのも流氷観光の醍醐味です。

また、アザラシと同じ海洋哺乳類のトドもよく見かけられますので、流氷ツアーに出向いた際には探してみてください。

そのほか北海道の流氷ではオジロワシやオオワシといった大型のワシも見ることができます。


ちなみにどちらも個体数が減っているため、見られる機会というのは非常に貴重です。

なお、流氷には大量の植物プランクトンが付いているため、その周りの海域ではクリオネがよく観察されるといった特徴もあります。

地球温暖化による流氷への影響

地球上にある海水はもの凄く長い年月をかけて移動し、元の場所へと戻っていきます。

特に北極や南極といった極域の海水は約1500年の時間をかけて循環をしているのですが、この循環の一端を担っているのが流氷です。

その中で、地球の温暖化が進み「流氷が形成されにくくなる」「逆に流氷が必要以上に溶け出す」といったことが起こると、正常な海洋循環ができなくなってしまうわけです。

また、地球温暖化により流氷が少なくなると、先ほど触れたアザラシなどの生き物たちが生活する場を失い、生態系にも異変が起きてしまいます。
(アザラシがいなくなると、それをエサとするホッキョクグマも絶滅する)

こうした様々な危機を回避するためにも、地球の温暖化を止めていかなければならないということです。

まとめ

北海道の一部エリアで見ることができる「流氷」について詳しくご紹介してきました。

ご覧いただいたように北海道のオホーツク海側(稚内~知床エリア)であれば「生の流氷」を観測することが可能です。

特に知床は流氷観光が盛んなので、興味がある方はぜひツアーなどをチェックしてみてください。

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