この記事では、地球にとって非常に大事な役割を果たしているサンゴ礁について分かりやすく解説をしています。
「そもそもサンゴ礁ってなにで出来ているの?」「サンゴ礁の役割ってなに?」といった疑問がある方はぜひご覧になっていってください。
現在、地球に生息するサンゴはその半分ほどが人間たちの手によって滅びようとしています。
簡単に言えば、私たちがより便利な生活を求めることが地球環境にとっては良くない方向に進んでいるとも言えるわけですね。
失われたサンゴ礁というのは戻ってくることがありません。
だからこそ、いま私たちは自分たちで出来るサンゴ礁の保全方法を考えなければいけないのです。
ぜひ、サーフィンや釣りなど海でのレジャーを楽しむ方々を含め、多くの人にこうしたサンゴ礁の現状について知っておいてもらえればと思います。
サンゴ礁とは?
それでは最初にサンゴ礁についての基礎知識から学んでいきましょう。
見た目からするとサンゴ礁は海洋植物の群体のように見えますが、サンゴ礁を構成するサンゴ単体はれっきとした生物の一種です。
サンゴには口や胃があり、さらには海洋プランクトンを捕食するための触手なども付いています。
なお、サンゴの本体のことをポリプとも呼び、ポリプは分裂をおこなうことで固体を増やしていきます。
ポリプが分裂をおこなった結果に密集して群生するのがサンゴ礁であり、実際そのひとつひとつは小さなサンゴ単体であるというわけですね。
ちなみに大きく分けると、サンゴにはこのように分裂を繰り返して増殖をおこなう造礁サンゴと非造礁サンゴの2種類がいます。(細かくサンゴの種類を分けると世界で800種類、日本でも200種類いるとされています)
造礁サンゴの多くは体内に褐虫藻という単細胞藻類を共生させ、光合成によっても栄養を摂ることが出来ます。
そして、この褐虫藻の働きにより摂りこんだ海中の二酸化炭素や炭酸カルシウムをもとに、自分の身体の下に石灰質の岩を作り上げていくところがサンゴの大きな特徴です。
造礁サンゴは自身を沖へと運ぶために石灰岩を作り、この土台の上でどんどん分裂を繰り返すことで群体を大きくさせていきます。
その結果として生まれるのがサンゴ礁というわけです。
サンゴ礁は大きく分けると、以下の3つの種類に分類されます。
裾礁(きょしょう):海岸部に接して成長をしたサンゴ礁
堡礁(ほしょう):島の周りを取り囲むようにして成長したサンゴ礁
環礁(かんしょう):中央に島などはなく、サンゴ礁の環と礁湖(ラグーン)のみで構成されるサンゴ礁
日本のサンゴ礁の大半は裾礁であり、堡礁の代表例はオーストラリアのグレートバリアリーフです。
有名な環礁にはフランス領ポリネシアにあるムルロア環礁が挙げられます。
このようにして世界の至るところに生息するサンゴ礁ですが、次にその大事な役割についてご覧いただこうと思います。
サンゴ礁の役割
先ほども触れたようにサンゴは生物でありながら二酸化炭素を吸収する性質を持っています。
また植物と同じように酸素も生成するのですが、その量が植物よりも多いといった特徴を持ち合わせているのです。
さらにサンゴは空気だけでなく海中をキレイにする役割も果たしています。
ちなみに海が青く見えるのはサンゴ礁が海中のプランクトンを多く捕食してくれているからです。
そしてサンゴ礁がある海域は波の力を弱くしてくれる効果もありますので、実は天然の防波堤としても活躍をしています。
なお、波が穏やかだと魚たちにとっても住みやすい環境となり、結果として魚の生態系を守っているところもサンゴ礁の役割のひとつと言えるでしょう。
このようにサンゴ礁は自然と地球環境をより良くするための生命活動を古来よりおこなっているわけですね。
それでは次にサンゴ礁における現在の課題と原因について見ていきたいと思います。
サンゴ礁の現在の課題と原因
ご覧いただいたように色々なところで大きな役割を果たしているサンゴ礁ですが、実は現在のところその半数以上が生命活動の危機にさらされています。
そして、その原因の大半は人間の生活によるものです。
サンゴというのは主に海水温が18℃~30℃あたりの海域に生息しています。
これ以上温かくても冷たくてもサンゴは生きていくことが出来ません。
それだけデリケートな生物とも言えるのですが、近年は地球全体が温暖化傾向にあるため、世界の至るところでサンゴが死滅していっているとの報告が挙がっています。
また、サンゴ礁を形成する造礁サンゴは共生する褐虫藻を失うと、白化現象というものを引き起こします。
白化現象とはサンゴの白い骨格が透けて見えるようになることで、その期間が長引くと光合成による栄養補給が出来なくなり最終的にサンゴ自体も死滅していってしまいます。
この白化現象が起こる大きな原因のひとつも地球の温暖化です。
さらに温暖化が進むことでサンゴの天敵であるオニヒトデなどの海洋生物が増え、サンゴを捕食していくといった被害も近年では増えてきています。
(そのほかシロレイシガイダマシやヒメシロレイシガイダマシといった生物もサンゴにとっては危険な外敵です)
こうした現状に対して日本ではどういった対策を取っているのか、そして私たち個人はどういったことをおこなえばいいのかということを次に見ていきましょう。
サンゴ礁を守る取り組み
日本においてサンゴ礁が生息する地域というのは沖縄本土を含む南西諸島や伊豆諸島、小笠原諸島などです。
小さな規模のサンゴ礁だと対馬海峡南部や房総半島南部でも見ることが出来ます。
このように分布されるサンゴ礁を守る取り組みのひとつとしては、各地で定期的なリーフチェックがおこなわれています。
リーフチェックとは、サンゴ礁の白化現象やオニヒトデによる被害を直接モニタリングすることです。
ダイバーたちがサンゴ礁を直接目で見て、異常がないかどうかを確認するのですが、おこなっているのは漁協組合や財団法人といった民間業者となります。
さらにこうした地元の自治体たちの間ではオニヒトデの駆除もおこなっており、サンゴ礁の保全には欠かせない役割を果たしてくれています。
また、傷ついたサンゴを保護して移植をおこなうというのもサンゴ礁保全の一環です。
サンゴの移植には地元の民間企業も手助けをおこなっていて、地域全体でサンゴ礁を守ろうという取り組みが広がってきています。
ほかにもサンゴ礁のある海域への赤土の流入の監視・防止などが保全活動の内容に入っていますが、そうした活動をおこなう方々の中にはボランティアの方も多くいます。
こうした人々の好意によってサンゴを守る取り組みが成り立っているというのも現状となりますが、やはり根本的には私たち個人が地球の温暖化をくい止めるよう日々の生活の中で気を付けなければいけません。
無駄なゴミを出さない、必要のない電気は使わない、なるべくマイカーではなく公共交通機関を利用するなど。
小さくても出来ることはたくさんありますので、ぜひみんなでサンゴ礁を守るための取り組みをおこなっていければと思います。
サンゴ礁について知っておこう
サンゴ礁についての基礎知識や現状、そしてサンゴを守るための取り組みについて見てきました。
サンゴは地球の環境を整えるのに欠かせない役割を持っています。
そんなサンゴを死滅させてしまうのも、助けるのもすべて人の手によるところです。
ぜひ、こうしたサンゴに関する情報を知った上で、今日から出来る取り組みをおこなっていきましょう。