海水浴場が人で賑わう夏の時期だけに限らず、海では1年を通して数多くの水難事故が起きています。
ここでは、そんな海にまつわる話として「溺れている人を見かけたらどうしたらいいのか?」ということについて詳しく解説をおこなっていきます。
海で溺れている人の助け方や対処法、さらに溺れている人を救助する際の注意点など。
そのほか海で溺れる原因として比較的多いものに関してもご紹介していきますので、海によく行くという方はぜひご覧になっていってください。
海で溺れる原因
海で溺れている人を助けるときは、「なぜ溺れているのか?」という原因を素早く察知することが重要です。
というのも、海で溺れている人の中には意識がある方と意識がない方の2通りがいます。
水難事故における救助方法というのは意識の有無によっても変わってきますので、「なぜその人が溺れているのか?」を知ることは的確に人命を助けるためにも必要なことです。
そこでまずは海で溺れる原因として比較的多く見られるものからご紹介していきましょう。
・遊泳中やマリンスポーツ中に足が攣って溺れる
・海中の見えない岩場やクラゲなどに触れることによって手足を怪我して溺れる
・高波や離岸流に巻き込まれて溺れる
・海中で持病が発症して意識を失い溺れる
・飲酒によって遊泳能力や判断能力が落ちて溺れる
・釣りなどをしていて防波堤から落ちて怪我、もしくはそのまま溺れる
実際に海で溺れる人の割合で考えてみると、やはり「足が攣る」「手足を怪我して泳げなくなる」といったケースが多いかと思います。
そのほか思いがけない高波や予想していなかった離岸流というのも事故に繋がりやすい原因のひとつです。
なお、足が攣ったり離岸流で沖まで流されたりといったケースの場合は、溺れている人の意識がある可能性が高いです。
反対に持病の発作やアルコールが原因で溺れている方というのは意識がない可能性があります。
このように溺れている原因によっても意識の有無が変わってくるわけですが、次にそれぞれのケースを含めて「溺れている人をどうやって救助するのが良いのか?」という点について解説をしていきたいと思います。
海で溺れている人を見かけた時の対処法
海で溺れている人を見かけたときには慌てないことが第一です。
そして、以下の順番に沿って救助活動をおこなっていきます。
・周りに誰かいないかを確認する
・118番(海上保安庁)に連絡をする
・大声で呼びかけてひとまず人がいることを伝え安心させる
・ペットボトルや浮き輪など浮力があるものを溺水者(できすいしゃ)の近くに投げ込む
「誰かいないかを確認する」というのは救助作業を分担する上でも必要なことです。
誰かがいればその人に118番通報をお願いして、自分は溺水者への呼びかけやペットボトルなどを投げ込む作業に専念が出来ます。
また、仮に自分が救助に向かう際にも別の人がいれば「そこで水難事故が起きている」ということを他に知らせてくれることになるので、まずは近くに誰かがいるかどうかを確認しましょう。
ただし、自分で助けに行くのは二次被害を引き起こす可能性がありますので、よほど水泳技術に優れていない限りはおこなわない方が賢明です。
そのため、救助活動の優先順位としては「周りに誰かいないか確認➡すぐ118番通報➡呼びかけ➡浮力があるものを投げ込む➡最終的に自分で助けに行くかどうか判断する」といった形になります。
なお浮力があるものというとペットボトルや発泡スチロールなどが挙げられますが、もちろん浮き輪があればそれがベストです。
溺水者が沖の方まで流されているようであれば、こうした浮力のあるものを持って助けに行き、それを溺水者へと渡しましょう。
ちなみに繰り返しとなりますが、「水泳技術に優れていない限りは絶対に自分ひとりで救助に行ってはダメ」ということを必ず覚えておいてください。
よくニュースでも見かけますが、溺れている人を助けに行った人の方が犠牲になってしまうことはよくあります。
そのため、溺れている人を見かけたときにはあくまで「118番通報」を優先するということを忘れないようにしましょう。
溺れている人を救助する際の注意点
最後に、溺れている人を救助する際に知っておきたい注意点について解説をしていきます。
まず覚えておいてもらいたいのは「溺れている人は十中八九パニック状態になっている」ということです。
パニック状態である溺水者は助けに来た人にしがみつくことが多いわけですが、こうなってしまうと救助者が道連れになってしまう可能性が上がります。
そのため、意識がある人を助けに行く際には後ろから近づくというのが鉄則です。
後ろから溺水者を抱きかかえるような形を取り、まずは溺れている人のパニック状態を落ち着かせるようにしましょう。
しかし、後ろから行っても溺れている人というのは予想以上の力で動き回る可能性が高く、ひとり分の泳力では十分に助けきれないことも考えられます。
そこで、溺れている人の近くに泳いで助けに行く際にはペットボトルや発泡スチロールといった浮力があるものを持っていくようにしてください。
いきなり自分で抱きかかえて助けるよりも、そういったものを渡してしがみついてもらった方が双方にとって助かる可能性が上がります。
また、先ほども触れましたが救助に向かうときには浮き輪があればベストですので、海水浴場であれば周りに浮き輪がないかを探してから救助へ向かいましょう。
なお、ライフジャケットが近くにあるのなら、助けに行く人は必ずライフジャケットを着た状態で救助へ向かってください。
ライフジャケットさえあれば2人とも助かる可能性が飛躍的に上がります。
意識がない人を助ける場合は自分で泳げないのでライフジャケットを代わりに着用させればスムーズに陸まで連れてくることが出来ます。
まとめ
海で溺れている人を見かけた際の対処法や応急処置について詳しくご紹介してきました。
本文中でも繰り返し書きましたが、とにかく海で溺れている人を見つけた場合には速やかに海上保安庁へ118番通報をしてください。
周りに誰もいない状態で通報もせずに救助へ向かってしまうと、そこで水難事故が起きていることが誰にも伝わらなくなってしまいます。
そのため、まずは118番通報をして浮力があるものを探し、それを溺水者へ渡すという手順をしっかりと覚えておきましょう。
また、溺れている人は必ずパニックになっているので、すぐに近づかないようにするというのも重要なことです。
海によく行く人であればいつかこうした知識が人命を救うかもしれませんので、ぜひ参考にしていただければと思います。