なぜガラスの砂浜に…?話題の場所の理由や行き方など
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現在、長崎空港から車で5分ほどの場所にある「ガラスの砂浜」がSNS上で話題となっていることをご存知でしょうか?

ガラスの砂浜とは、名前の通り小さなガラスの砂が敷き詰められた砂浜のことです。

白や黄色、オレンジや緑などの様々な色をしたガラスの砂が一面に広がる光景が非常にフォトジェックだと注目を集めています。

この記事では、そんな「ガラスの砂浜」に関する情報を詳しくまとめてみました。

なぜ砂浜にガラスを敷き詰めているのか?という部分に興味がある方は、ぜひこちらの内容を最後までご覧になっていってください。

長崎・大村湾の「ガラスの砂浜」が話題

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長崎県の大村湾に面した海岸にある「ガラスの砂浜」がSNS上で話題となり始めたのは2018年頃のことです。

このガラスの砂浜は大村市の森林公園に隣接するような形で造られた人工的な砂浜となります。

もともとの砂浜に細かく砕いたガラスの砂を敷き詰めているのですが、これによりあたり一面がキラキラと輝いているところが非常に特徴的な部分です。

その見た目があまりにもキレイで、とても幻想的であることが注目を集めるきっかけとなり、InstagramやTwitterなどのSNS上で「映えるスポット」として拡散されていきました。

実際に訪れてみると太陽の光を反射した色とりどりのガラスの砂が美しく、確かに思わず写真を撮りたくなるような光景が広がっていることが分かります。

ちなみにこうしたガラスの砂や粒というのは「シーグラス」とも呼ばれますが、次にシーグラスが出来上がるまでの過程やガラスの砂浜で使われている素材について解説していきましょう。

「シーグラス」とは?

ガラスで出来たビンや容器が割れて海を漂い、その過程で角が取れて丸みを帯びた欠片が本来の「シーグラス」です。

シーグラスは長い月日をかけて研磨されるため曇りガラスのような色合いを出すのですが、中にはとても貴重なものもあります。

たとえば数十年前に造られたガラスの瓶が大元となるようなシーグラスは、その素材自体がレアであるため高い価値が付くわけです。

ちなみに赤やオレンジといった色がレアなカラーとして知られていますので、海岸などを散歩するついでに探してみるのも悪くありません。

なお、この記事でご紹介しているガラスの砂浜に敷き詰められているのは天然ではなく人工的なシーグラスです。

長崎県内の家庭から回収された空き瓶を、リサイクル業者がひとつひとつ細かく粉砕して人工シーグラスを作っています。

つまりガラスの砂浜はリサイクルの一環としても役立っているわけですが、なぜこうした人工シーグラスを海岸に撒こうと考えたのか?その理由を次に見ていきましょう。

関連記事:シーグラスは海からの贈り物|見つけ方やアクセサリーなどおすすめの工作も

なぜガラスの砂浜に?

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ガラスの砂浜があるのは大村湾に面した大村市の海岸です。

この大村湾は周囲をぐるりと陸地で囲まれているので、地図上で確認すると非常に大きな湖のようにも見えます。

そんな大村湾の水質を改善するために「ガラスの砂浜」は計画されました。

【ガラスの砂浜が実現するまでの流れ】
〇2000年ごろ、大村湾は水質改善が必要な状況に陥っていた
⇒このころ大村湾には大量の植物プランクトンが溜まり赤潮などが発生していた
⇒大量の植物プランクトンが死滅すると、その分解に海中の酸素が必要以上に使われる
⇒酸素濃度が低下すると魚たちが育たなくなる
⇒なぜ大村湾には大量の植物プランクトンが溜まってしまっていたのか?
⇒これは植物プランクトンをエサとするアサリなどの「二枚貝」が減少していたからと考えられる
⇒「二枚貝」が植物プランクトンを消費し、その「二枚貝」を漁獲して人間が消費するというのが正しい海の循環図式
⇒そこで大村市ではアサリなどの「二枚貝」が定着しやすい海を造ることを計画
⇒「二枚貝」は直径1mm前後の砂に卵が定着し、そこから成長が始まるため様々な素材を使った人口砂で実験を開始
⇒結果として材料が仕入れやすく、砂の粒径が揃えやすい「ガラス」が人口砂の原料として使われることになった
⇒水質改善のためにガラスの砂浜を造り上げたところ、その見た目が非常にフォトジェニックだと話題になる

こちらが「ガラスの砂浜」が誕生するまでの流れとなります。

分かりやすく段階的な箇条書きにしてみましたが、簡単に言えば「大村湾の海をキレイにしようと考えたら、結果として思わぬ形で観光スポットが誕生した」といったイメージです。

(実際に「ガラスの砂浜事業」を担当した長崎県環境保健研究センターや長崎県の地域環境課の方々は、SNSで注目を集めるとは思っていなかったようです)

なお、大村湾の水質が低下していた原因を追加で補足すると、当時は大村湾での漁獲量が減っていたものの、流れ込む生活排水やそれに伴う植物プランクトンの量が変わっていなかったとされています。

つまり、海から引き上げる資源の量は少なくなっているのに、海に流入する「栄養量」はそのままだったということです。

本来は栄養となる植物プランクトンが過剰に増えると、前述の通り酸素濃度が低下しますので魚たちが生息しにくくなってしまいます。

また、先ほども触れたように大村湾は周囲を陸地で囲まれている特異な地形をしていて、外海との循環が他より少ないといった点も水質悪化の原因として挙げられています。

ちなみに以前は東京湾でも大村湾と同じような形で植物プランクトンの異常発生が起きていました。

ただ、大村湾より外海との循環がしやすく、生活排水の処理能力が向上したこともあり問題が改善されています。

生活排水の処理能力向上は大村湾でも出来るかもしれませんが、外海との循環に関しては地形的な理由から人的改善が難しいということで「ガラスの砂浜事業」が計画・実行されたわけです。

そんなガラスの砂浜では子供向けに自然環境を学ぶためのイベントも開催されています。

大村湾にはどういった生き物が生息しているのか?といった勉強や、実際に大村湾で獲れた食材を使っての調理実習などが体験できます。

地域で獲れるものを地域の方々が消費するという「地産地消」の精神を地元の方々に広める役割も持っていますので、興味がある方はぜひ一度「ガラスの砂浜」を訪れてみてください。

ガラスの砂浜の場所・行き方

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ガラスの砂浜は、長崎空港から橋を渡ったすぐ近くの海岸にあります。

空港からは車で5分ほど、近隣には森林公園がありそちらの駐車場が利用可能です。

【ガラスの砂浜】
住所:長崎県大村市森園町148
アクセス:長崎空港から車で5分、徒歩でおよそ25分

ガラスの砂浜はここ数年で、長崎県に訪れたなら最初に立ち寄りたいスポットのひとつとして有名になってきています。

ちなみにガラスの砂浜に隣接する森林公園も遊び場としては最高で、自然豊かな南国ムード溢れる雰囲気を満喫したい方にはとてもおすすめです。

大村市や県の中心部である長崎市に旅行で訪れる場合は、ぜひSNS上で話題となっているガラスの砂浜まで足を延ばしてみてください。

まとめ

長崎県大村市にある「ガラスの砂浜」に関する情報を詳しくご紹介してきました。

水質の向上と共に大村湾で獲れる海産物を世間の方に知ってもらいたいと考えていたところ、「SNS」という思わぬ形で有名になっていったのがご覧いただいてきた「ガラスの砂浜」となります。

ガラスの砂浜はとてもフォトジェニックな場所なので、長崎県に旅行で訪れた際にはぜひ立ち寄ってみてください。

ただし、万が一に備えて裸足での立ち入りは禁止となっているため、その点は注意しておきましょう。

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