ハコフグの特徴・生態!生息地や毒性など

この記事ではフグの一種である「ハコフグ」の特徴や生態をご紹介していきます。

ハコフグは甲羅に似た硬い皮膚を持ち、断面で見ると四角い箱のような形をしている魚です。

一般的に食用として扱われるフグではありませんが、地方によってはハコフグを食べる文化が残っているところもあります。

ここでは、そんなハコフグの生息地・毒性・食性といった生態を詳しくまとめてみました。

また、ハコフグの食べ方や味、観賞用としての飼育方法についても解説していますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

ハコフグとは?

ハコフグは「フグ目ハコフグ科」に分類される魚の総称です。

現在のところハコフグには6属25種が確認されていますが、正式にハコフグという名称が付いているのは「ハコフグ属」の一種となります。

ちなみに魚の知識が豊富なことで知られる「さかなクン」が被っているのは、このハコフグを模した帽子です。

ハコフグ科の魚は一様にして皮膚が硬く発達していて、多くの骨板が絡み合う構造をしています。

実際に触ってみると亀の甲羅に似た手触りをしていますが、これは外敵から身を守るためです。

また、ハコフグ科の魚の多くは派手な色をしているところが特徴的です。

近年ではその見た目が可愛らしいという理由で鑑賞用として飼育されることもあります。

身体について

ハコフグの皮膚が硬いのは「鱗」が甲羅のように発達しているからです。

ただし、腹部は柔らかいので、食べる場合には腹部から調理をおこないます。

なお、ハコフグはトラフグやマフグと異なり、筋肉が少ないため可食部はそれほど多くありません。

また、フグ目に分類される魚はペンチ状の歯板を形成することが多いのですが、ハコフグはくちばしのような「吻(=口にあたる部分)」の先に鑿状の歯が集まった形状になっている。
また、フグ目に分類される魚はペンチ状の歯板を形成することが多いのですが、ハコフグはくちばしのような「吻(=口にあたる部分)」の先に「のみ状」の歯が集まった形状となっています。

※鑿(のみ)=木材や石を削るときに使う大工道具

社会性とコミュニティー

基本的にハコフグは単体で行動する魚です。

普段の生活において群れを作ることはありませんが、繁殖期(=産卵期)に近付くとオスとメスが段々とペアになっていきます。

そのため、ダイビングやシュノーケリングでハコフグの群れを見つけた場合には、産卵期が近いと判断できるわけです。

形と種類

幼魚のころのハコフグは球体に近いフォルムをしていますが、成長に伴い身体が伸びることで箱型になっていきます。

ちなみに大きく分けるとハコフグには身体の断面が三角の種類と四角の種類が存在します。

どのハコフグも英語では「BoxFish」と呼ばれますが、実際には種類によって身体の形が違うことを覚えておきましょう。

ハコフグの特徴・生態

ここからはハコフグの詳しい特徴や生態をご紹介していきます。

ハコフグを飼育してみたいと考えている方の中には「ハコフグはどういった毒を持っているのか?」「ハコフグは何を食べるのか?」などの疑問を持つ方もいると思いますが、そんな疑問を解消するためにはこちらをご覧ください。

生息地

日本におけるハコフグの生息地は岩手県から九州地方南部にかけた浅い海域です。

だいたいどのハコフグも水深50mくらいの浅瀬を好み、岩礁帯やサンゴ礁に近いところで生活をしています。

なお、日本近海で見られる「ハコフグ属」には9種の魚が属していて、そのうち4種は日本産のハコフグです。

ほかのハコフグに関しては以下のグループと生息地を参考にしてください。

・大西洋グループ:ツノハコフグ属4種、ほか1属3種
主に大西洋を生息地としていて、身体の断面が三角に近いハコフグのグループ。

・太平洋インド洋グループ:ハコフグ属10種、コンゴウフグ属3種、ラクダハコフグ属4種、ほか1属1種
主に太平洋やインド洋に生息し、身体の断面が四角に近いハコフグのグループ。

ちなみに、飼育用として人気があるミナミハコフグは「ハコフグ属」で、コンゴウフグは「コンゴウフグ属」の魚となります。

毒性

ハコフグはフグの一種ではあるものの、皮膚以外には毒がありません。

一般的に食用として出回っているトラフグやマフグは肝臓や卵巣、また血液のすべてに「テトロドトキシン」という猛毒が含まれています。

対して、ハコフグに含まれる主な毒素は皮膚から分泌される「パフトキシン」で、基本的には内臓や血液に毒はないと考えられています。

しかし、ハコフグの場合は個体によって体内に「パリトキシン」に似た神経毒を持っているケースがあるので、無闇に食べないよう気を付けましょう。

なお、パリトキシンはトラフグなどに含まれる「テトロドトキシン」よりも毒性が強く、少量でも致死量に達します。

テトロドトキシンは青酸カリの数百倍の毒性といわれていますので、それを踏まえるとパリトキシンのような毒を含む可能性があるハコフグは海の中でも屈指の猛毒生物と言えるでしょう。

また、ハコフグが皮膚から発する「パフトキシン」も神経毒の一種です。

パフトキシンは他の魚を死滅させるくらいの毒性は持っていますので、人間にとっても無害ではありません。

ちなみにハコフグは自分の身を守るためにパフトキシンを発して外敵を寄せ付けないようにしていますが、その毒によって自分が死滅することもあります。

こうした毒性を持っていることから、ハコフグの皮は食品衛生法上「販売禁止」となっているわけです。

食性

ハコフグの食性は「肉食性」です。

ハコフグの種類や生息地によって主なエサは変わってきますが、基本的にはゴカイなどの底生生物や甲殻類を食べています。

そのほか貝類や海綿動物、青虫といったものもハコフグの好物です。

飼育する際にはハコフグが食べられるサイズの青虫やゴカイを与えてあげましょう。

ハコフグの食べ方・味

ハコフグは硬い皮膚で覆われていますが、焼いてしまえば簡単に皮膚を剥がすことができます。

長崎県の五島列島では昔からハコフグを食べる文化があり、腹部の皮膚を剥がしたところに薬味や味噌を入れて、身と和えたものを「カトッポ」「かどっぽ」と呼んで食しています。

もともとは漁師料理のひとつだったそうですが、現在は観光客向けの料理としても提供されているようです。

ちなみにカトッポは白米との相性が良く、5合くらいはご飯が進むという意味から「ゴンゴブ」とも呼ばれています。

ハコフグの飼育方法

ハコフグはストレスに弱い魚なので、同種・別種問わず単独での飼育が推奨されています。

成長したときの大きさは種類によって異なりますが、最低でも60㎝〜90cmサイズの水槽を用意しておきましょう。

また、水質を維持するためのろ過機やセパレーターも必要です。

さらにハコフグの適正水温は24〜25℃なので、季節に合わせてクーラーやヒーターも準備しておいた方が無難です。

なお、ハコフグは水槽の水を入れ替えるだけでもストレスを感じて皮膚から毒を出し、自らの身体を弱らせることもあります。

まとめ

見た目の可愛らしさや派手な色合いから観賞用としての人気を高めている「ハコフグ」の生態を詳しくご紹介してきました。

一般家庭でも飼育可能とされているハコフグですが、その皮膚からは他の魚を死滅させるほど強い毒を発することがあります。

人間にとっても無害ではないので、自宅で飼育する際には十分に注意しましょう。

また、個体によっては体内に猛毒を含んでいることもあるため、仮に釣り上げた場合でも無闇に食べないよう気を付けてください。

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