「世界海洋デー」とは?海洋汚染問題の現状・取り組みも

この記事では、国際デーのひとつとして定められている「世界海洋デー」について分かりやすくご紹介していきます。

また、世界海洋デーに関連して「海洋汚染問題の現状」やそれに対する「世界の取り組み」なども詳しくまとめてみました。

現在、世界では様々な形で海の環境を保護する活動がおこなわれています。

こうした活動を知ることは、四方を海で囲まれた日本に住む私たちにとっても大切なことです。

ここでは、私たちが日常的におこなえる取り組みについても解説していますので、ぜひ参考にしていってください。

「世界海洋デー」とは?

世界海洋デーは2009年に公式化された国際デーのひとつです。

国際デーとは、国連に代表される国際機関が定めた記念日を指します。

1992年6月8日にブラジル・リオデジャネイロで開催された地球サミットにて、カナダが初めて「世界海洋デー」を提唱しました。

その17年後の2009年6月8日に、正式な形で世界海洋デーは国際デーのひとつとして認められたということです。

そんな世界海洋デーは以下のような取り組みや理念を共有するために制定されています。

・海洋汚染問題の解決
・公平公正な漁業活動の推奨
・海賊行為や海での強盗行為の取り締まり強化
・海洋資源の保全
・海洋生物の乱獲防止
など

世界海洋デーでは毎年テーマが決められ、そのテーマに沿った活動や取り組みを一般社会に発信する役割を持っています。

ちなみに2021年の世界海洋デーにおけるテーマは「海洋:生命と生活(The Ocean: Life and Livelihoods)」でした。

こうしたテーマに沿いながら、様々な団体が海に対して意義のある活動をおこなうというのが世界海洋デーの基本概要です。

〇2021年の一例
世界中のレストランやホテルに従事する会員で構成された「ルレ・エ・シャトー」において、「貝への賛歌」をコンセプトに料理の提供やレシピの公開がおこなわれた。

海洋汚染問題の現状

続いては世界海洋デーと関連性が深い「海洋汚染問題の現状」について見ていきましょう。

現在、世界の海は色々な形で汚染が進んでいます。

その主な要因をいくつかまとめてみましたのでご覧ください。

・海洋プラスチックゴミ
・陸地で不法投棄されたゴミ
・生活排水
・工場から流れ出る油や化学物質
・船舶事故による油の流出

海洋汚染問題の中でもっとも深刻な要因が「海洋プラスチックゴミの増加」です。

プラスチック製品のゴミは自然に分解されることがないので、海に流れ出ると様々な問題を引き起こします。

ちなみに毎年800万トンほどの海洋プラスチックゴミが海へと流入しているのですが、これは東京スカイツリー222基分に相当する量です。

毎年、222基もの東京スカイツリーがゴミとして海に流されていると想像すると、その重大さが分かりやすいかもしれません。

また、海に住む生物たちは海中に排出されたプラスチックゴミを無意識に摂取してしまうのですが、こうした理由によって生態系のバランスが崩れていることも指摘されています。

そのほか陸地で不法投棄されたゴミが、川などを伝って海に流れ出るのも海洋汚染の原因のひとつです。

あまり意識していないかもしれませんが、街中にあるマンホールの下や側溝を通る下水道は生活排水と共に海へと排出されます。

もちろん、この下水の中には細かなゴミが混じっていますので、海に流れ出れば汚染の原因となるわけです。

なお、私たちが日常的に使っている洗顔料や歯磨き粉などの中にはマイクロプラスチックを使ったものもたくさん販売されています。

こうしたマイクロプラスチックが含まれる製品を使わないことも海洋保全活動の一環と言えますので、ぜひ覚えておきましょう。

世界の海洋汚染対策・取り組み

ここからは世界における海洋汚染対策やその取り組みについてご紹介していきます。

最近は日本でも「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉をよく見聞きするようになりました。

そんなSDGs活動の中にも海洋汚染を防ぐための目標が含まれています。

そして、世界の国々はその目標を達成するために以下のような取り組みをおこなっています。

ヨーロッパ(EU加盟国)

ヨーロッパでは2030年までに「EU加盟国内で使用されるプラスチック製品をすべてリサイクル・リユース可能なものとする目標」を発表しています。

また、使い捨てのプラスチック製容器や包装材の削減も目標の中に含まれています。

〇アメリカ
カリフォルニア州では、レストランなどフルサービス形式の飲食店でプラスチック製のストローを提供することが禁止となりました。
(レジ袋の提供も禁止)

そのほか米国内では再生プラスチック製品の比率記載の義務付け、プラスチック製品の再利用化促進がおこなわれています。

また、2015年には「マイクロビーズ除去海域法」によってマイクロビーズを含む洗顔料や歯磨き粉の製造・販売が禁止となっています。

アジア

アジアの中ではタイがいち早く海洋ブラスチックゴミ問題に対して規制を強化しています。

具体的にはプラスチックゴミになるような輸入製品の規制を強め、廃プラスチック類に関しては一律輸入禁止としているそうです。

このように世界では自国で継続的におこなえる海洋保全活動・環境保護活動を積極的に展開しています。

もちろん日本でも海洋汚染を防ぐ取り組みをおこなっているのですが、その対策をまとめたものが「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」となります。

なお、こちらの対策の主な内容は以下の通りです。

・プラスチックゴミの回収、適正処理、ポイ捨てや不法投棄の防止
・海洋流出しても悪影響が出にくい素材の開発
・海洋プラスチックゴミ対策の知識や経験を発展途上国のために役立てる

日本ではこうした活動を通して海の環境を守ろうとしています。

ただ、上記の活動には私たち一般市民の貢献や理解も必要です。

そこで、次に私たちが自分自身で出来る取り組みについて見ていきましょう。

私たちにできる取り組み

ここでは私たちに出来る「海洋汚染防止への取り組み」をご紹介していきます。

・海だけに限らず陸地でもポイ捨てをやめる
・街の清掃活動やビーチクリーン活動に参加する
・サンゴ礁に優しい日焼け止めを使用する

まず、もっとも基本的な取り組みが「ポイ捨ての禁止」です。

自分ではポイ捨てをしていないという方が大半だと思いますが、周りの方や気付かずゴミを捨ててしまっている方に対して注意を払うことも取り組みの一環と言えます。

また、先ほども軽く触れましたが海洋ゴミの問題は海辺だけでなく陸地のポイ捨ても関係してきます。

街中で捨てられたゴミはいつか下水や川を通って海に排出されますので、時間がある方は街の清掃活動やビーチクリーン活動に参加してみてください。

そのほか、最近になって世界中で注目されているのが「日焼け止め」の選び方についてです。

日焼け止めの中にはサンゴ礁や海洋生物にとって有害な成分が入っている商品があります。

こうした日焼け止めを使わず「リーフセーフ」と呼ばれる日焼け止め(有害成分不使用)を選ぶことも大事な取り組みのひとつです。

まとめ

「世界海洋デー」や関連する海洋汚染問題について詳しくご紹介してきました。

現在、世界では様々な方針や目標を立てて海洋保全活動を推奨しています。

日本でも海洋プラスチックゴミを減らす取り組みが一般的におこなわれるようになってきましたので、ぜひ普段の生活から「不要なゴミを出さない」ということを意識してみてください。

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