SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」について

最近、「SDGs」という言葉をテレビなどで見かける機会が増えてきたと思います。

SDGsと聞くと、なんとなく「自然に優しく」「地球環境を守ろう」といったニュアンスがあるのだと解釈できますが、具体的な内容を理解している人はあまり多くないかもしれません。

そんなSDGsの目標の中には「海の豊かさを守ろう」という項目が含まれています。

この記事ではSDGsで掲げられている17の目標のうち、上記の「海の豊かさを守ろう」について詳しくまとめました。

SDGsとは何か?「海の豊かさを守ろう」とは具体的にどういった事を示しているのか?を理解するためにも、ぜひこちらの内容を参考にしていってください。

SDGsとは?

2015年に開催された国連サミットで定められた世界共通の目標のことを「SDGs」と呼びます。

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。

簡単にその内容をまとめると「現在、世界中で起きている貧困や自然破壊といった問題をみんなの努力で改善していこう」「そのためには継続的に実行できるやり方を採用していこう」といった形になります。

ちなみに、このSDGsは2030年までに実現することを目標として定められています。

すでに世界各国では実践的な取り組みがおこなわれていて、日本でもSDGsという言葉が一般的にも知られるようになってきました。

私たちの身近なところで言えば、「レジ袋の有料化」「プラスチック製ストローの廃止」といった動きもSDGs活動の一環です。

レジ袋やプラスチック製ストローの使用が少なくなれば、その分だけ排出されるゴミが減りCO2削減といった効果に繋がります。

また、最近テレビのグルメ企画などで見かける「フードロスをなくそう」といった活動もSDGsのひとつです。

フードロスをなくすことによって、食料ゴミの量を抑える・食料ゴミの運搬や焼却に掛かるコストを抑えるといった狙いがあります。

なお、こうした様々な取り組みを実践する上でSDGsでは大きく分けて17の目標を掲げています。

そのうち、14番目に掲げられているのが今回のテーマである「海の豊かさを守ろう」という目標です。

それでは次に、「海の豊かさを守ろう」とは具体的にどういった事を意味しているのか?について見ていきましょう。

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」について

海

産業革命以降、世界中の海では様々な問題が噴出しています。

中でも非常に大きい割合を占めるのが「海洋汚染」であり、その海洋汚染に付随し発生しているのが海洋酸性化や生態系の乱れといった問題です。

こうした問題の概要や対策などについて詳しく見ていきたいと思います。

海洋汚染

SDGs14番目の目標に掲げられた「海の豊かさを守ろう」では、いくつかのターゲットが定められています。

その最初に書き出されているターゲットが「2025年までに、海洋堆積物や富栄養化を含め、特に陸上活動からの汚染による、あらゆる種類の海洋汚染を防ぎ大幅に減らす」というものです。

分かりやすく言えば「2025年までに世界各国が努力して陸上から捨てられるゴミを減らし、海を健全な状態にしましょう」といったニュアンスとなります。

現在、地球上の海にはおよそ1億5000万トンもの海洋ゴミが堆積していると言われています。

また、そのゴミの量は毎年約800万トンずつ増えているのですが、これは1年間に222基分の東京スカイツリーが海に捨てられているのと同じくらいの数字です。

そんな海洋ゴミの6割以上を占めているのが「プラスチック製のゴミ」です。

海に流れ着く代表的なプラスチックゴミにはビニール袋やペットボトルといったものが挙げられますが、こうしたプラスチックゴミは自然に分解されることがなくそのまま漂い続けます。

さらにマイクロプラスチック粒子を使った洗顔料や歯磨き粉というのも海洋汚染を促進させる要因のひとつです。

私たちが何気なく使っている洗顔料や歯磨き粉の中にはマイクロプラスチック粒子が含まれているものもあり、それらが下水を通って海に流れ着くと「海洋プラスチックゴミ」として扱われてしまうわけです。

なお、こうした理由からアメリカではマイクロプラスチック(マイクロビーズ)を使用した洗顔料・歯磨き粉・化粧品などの製造および販売を禁止しています。

また、2021年から2022年に掛けてはEU各国でも角質除去用ビーズといったマイクロプラスチックを含む化粧品に対して規制を設けることが発表されました。

このような形で、世界では一丸となって海洋プラスチックゴミ対策を実行しているということです。

関連記事:海洋汚染の原因と人への影響とは?私たちにできる対策も

海洋酸性化

産業革命後、様々な形で化石燃料などが使われるようになった地球上では大幅に二酸化炭素の排出量が増えました。

このことによって深刻化しているのが「海洋酸性化」といった問題です。

元来、海には炭酸イオンとカルシウムイオンが含まれていて、この2つが結合した炭酸カルシウムによってサンゴや貝類などの生物が成長するといった流れが出来ています。

しかし、海には二酸化炭素を吸収するといった働きもあります。

陸上の二酸化炭素が増えると海中に吸収される二酸化炭素の量も増えるのですが、こうなると二酸化炭素が酸の役割を持ち炭酸イオンを減らしてしまうわけです。

当然、炭酸イオンが減った海では炭酸カルシウムが生成されづらくなりますので、結果としてサンゴや貝類の成長に悪影響を与えます。

これが世界中の海で見られる「海洋酸性化」の具体的内容となりますが、こうした形で海が酸性に傾く問題を解決するためにもCO2量の削減は大きな課題と言えます。

関連記事:海洋酸性化の影響と原因!私たちにできる対策は?

生態系

このまま対策を講じずに時が経つと、2050年には魚の数より海洋ゴミの方が多くなるといった試算データがあります。

もちろんこれは大げさな話ではなく、現実的に起こり得る問題です。

そして、実際にゴミの数が増え続けると海の中の「生態系」が崩れ出し、今のような海は戻ってこなくなるとも言われています。

現在、世界中の海では700種ほどの海洋生物がプラスチックゴミの被害に遭っていて、中には先ほど触れたマイクロプラスチックを誤って摂取した結果死んでしまう個体も少なくありません。

なお、過去には死んでいたクジラのお腹から数十キロものプラスチックゴミ(ビニール袋など)が出てきた事例もあります。

こうした被害をくい止め、生態系を正常に戻すこともSDGs活動の大きな役割と言えるでしょう。

水産資源

現在、世界の水産資源状況はほぼ限界にまで達しているといった見方があります。

というのも、いま世界各国で獲られている水産資源のうち9割以上は「乱獲状態」または「限界ギリギリまで獲られている」といった状態だからです。

逆に言えば「獲って問題ない水産資源」は全体の「1割以下」しかないということになります。

この状態が続けば、やがては水産資源が枯渇して魚を日常的に食べることが出来なくなってしまいます。

もちろん漁業で生活をしている人たちは雇用を失い、またその影響による経済的な損失も計り知れません。

こういった問題を解決するため、世界各国では魚の密漁や乱獲を防止する策を積極的に打ち出しています。

個人にできる取り組み

SDGsによる「海の豊かさを守ろう」といった目標を達成するためには、私たち個人の取り組みも非常に大切です。

・レジ袋を使わずエコバッグを活用する
・ペットボトル飲料ではなくマイボトルを持ち歩く
・プラスチック製品を捨てるときにはリサイクルやリユースを意識する
・当然ポイ捨てはしない
・街や海辺のクリーンアップ活動に参加する
・MSC認証マークの付いた商品を積極的に購入する

こちらが個人でも実践できる取り組みの一例となりますが、あまり見聞きしたことがないものが「MSC認証マーク」だと思います

MSC認証マークとは「海のエコラベル」とも呼ばれていて、海洋保全に尽力するメーカーや業者が販売する商品に対して表示されているマークです。

このマークがある商品を購入すれば自分も海の資源を守る活動に参加していることになりますので、ぜひ覚えておいてください。

まとめ

SDGsで掲げられている目標のひとつ「海の豊かさを守ろう」について詳しくご紹介してきました。

ご覧いただいたように、現在のところ世界中の海が様々な問題に直面しています。

こうした問題を解決するためには、私たち一人一人が普段の生活から海にとって良い行動を取ることが大切です。

日々の暮らしの中で、少しでもゴミを減らす努力などをおこなっていきましょう。

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