深海とは?何メートルから?特徴や生き物についても

この記事では未だに解明されていないことが多い「深海」に関する様々な情報をご紹介していきます。

深海は宇宙と同じくらい神秘的かつ謎に包まれた場所です。

海の平均水深は3700メートルほどと言われていますが、その大半が人類未踏の地となっています。

色々な国の努力によって段々と深海の特徴や生物についての調査や研究が進んでいるものの、まだまだ全容というのは分かっていません。

ここでは、そんな深海の大きな特徴・構造・生態系などを分かりやすくまとめてみました。

深海の世界に興味がある方は、ぜひ最後までご覧になってみてください。

深海とは?何メートルから?

深海とは一般的に「水深200メートルよりも深い海域」のことを指す言葉です。

これよりも浅い海のことを「表層」と呼びます。

ただし、「水深200メートル」はあくまでひとつの基準であり、深海に関する定義付けは未だ明確ではありません。

ちなみに「なぜ水深200メートルよりも深い海域を一般的に深海と呼ぶのか?」についてですが、それは太陽の光が届くギリギリの深さだからです。

海面に当たる太陽光が100%だとすると、水深200メートルではその0.1%しか光が届きません。

これが水深1000メートルになると生物が光を知覚できない完全な「暗黒の世界」となるわけです。

なお、表層の海域では太陽光を利用して光合成をおこなう植物プランクトンが多く生息していますが、深海の世界では植物プランクトンすらいなくなります。

しかし、そんな場所ですら生物は独自の進化を遂げていて、様々な生態系を構築しているところが非常に興味深い点です。

日本は水深5000メートルよりも深い「深海の海水保有体積・世界第一位」の国となっていますが、その地理的利点を活かして深海の生物や海洋資源の調査・発掘に力を入れています。

そのため、近い将来にも新しい深海生物や新エネルギーの発見があるかもしれません。

深海の構造・区分

深海

深海はいくつかの層によって形成されています。

一般的には太陽光が届かなくなる水深200メートルからを深海と呼びますが、光の種類によっては水深1000メートルまで届くものもあるようです。

こうした理由から水深200メートル~1000メートルを弱光層、1000メートルよりも深い海域を無光層と呼んだりします。

なお、さらに詳しい深海の構造や区分は以下の通りです。

・中深層:水深200メートル~1000メートル
・上部漸深層:水深1000メートル~1500メートル
・下部漸深層:水深1500メートル~3000メートル
・深海層:水深3000メートル~6000メートル
・超深海層:水深6000メートル以深
(研究者によって漸深層を一括りにする場合や水深4000メートルまでを漸深層とする場合がある)

ご覧のように水深6000メートルよりも深い海域を「超深海層」と呼びますが、このうち地殻変動によって生まれた溝のことを「海溝」と呼びます。

世界で一番深いところにあるのは「マリアナ海溝」で、その水深はなんと10000メートル以上です。

海というのは深く潜れば潜るほど「気圧」が高くなりますが、一般的に水深が10メートル下がれば1気圧増えると言われています。

1気圧はだいたい「1㎡に1キロの重さが掛かる」くらいの力なので、水深10000メートルのマリアナ海溝では小指の爪ほどの面積に約1000キロの力が加わる計算となるわけです。

深海の特徴

続いては深海の特徴について見ていきましょう。

深海には様々な特徴がありますので、それぞれ個別に説明していきたいと思います。

一定の深さから水温の変化がほぼなくなる

深海では一定の深さに達すると水温の変化がほぼなくなります。

表層の海域では季節や場所によって海水の温度が変わりますが、深海ではその温度変化が見られないということです。

ちなみに一定の基準となるのは水深3000メートル付近で、これより深い海域では海水の温度が「約1.5℃」のままとなります。

一定の深さから塩分濃度も同じになる

一定の深さからは水温と同様に「塩分濃度」も同じになります。

浅い海では潮の満ち引きや海流によって海水がかき混ぜられ塩分濃度に変化が起こりますが、表層よりも海水の動きが静かな深海ではそういった変化が起こりません。

また、地理的要因でも塩分濃度は変わってきますが、世界中どこの海でも水深3000メートル~4000メートル付近になると塩分濃度は「3.5%」に落ち着きます。
(表層の塩分濃度は3.3%~3.7%くらいの間でバラつきがある)

深海は海水密度が高い

水深2000メートルよりも深い海域では海水密度が「1.028 g/cm3強」となりますが、不純物などが含まれていない「純水」よりも液体としての密度が高いというのも深海の特徴です。

ちなみに海水密度は気圧だけでなく温度や塩分濃度によっても変化します。

なお、先ほども触れたように海水は一定の深さまで達すると温度や塩分濃度に変化が起こらないので、海水密度も一定のまま保たれます。

深海にも音はある

深海には「無音の世界」といったイメージもあると思います。

しかし、最新の研究では深海にも音が存在することが分かってきました。

クジラの鳴き声、地震による地響き、船のスクリュー音などが深海でも聞かれる音の代表例となっていますが、ほかにも何が音源となっているか分からないノイズ音も聞こえるようです。

深海にある海水は非常にゆっくりと動いている

深海にある海水はもの凄く長い年月をかけてゆっくりと動いています。

表層の海水は風などの影響によって海流を生みますが、深海の海水が動く要因は「熱塩循環」によるものです。

基本的に深海の海水は一定の深さまで達すると温度・塩分濃度・密度が同じ数値となります。

しかし、その一定の深さまでの間に起きる温度や塩分濃度の変化によって「ごくわずか」な海水の動きが発生するわけです。

こうした熱塩循環の働きによって動いた海水は、およそ2000年という年月をかけて同じ海域まで戻ってきます。

深海に住む生き物の特徴

それでは最後に深海に住む生き物の特徴をご紹介していきましょう。

身体のすべてまたは一部が大きく発達する

深海生物には大きな身体を持っている、または身体の一部が大きく発達するといった特徴があります。

たとえば少し前に注目を集めた体長50センチほどの「ダイオウグソクムシ」も深海生物の一種です。

ダンゴムシやフナムシと同じ仲間とされるダイオウグソクムシですが、その身体の大きさは他種にない特徴と言えるでしょう。

また、普段の食卓でも見かけるキンメダイも実は深海生物の一種で、ご存知のように大きな目が特徴となっています。

ちなみに身体が大きく発達する要因としては「エサを捕りやすくするため」「エサを知覚しやすくするため」などが考えられるようです。

透明な身体を持つ生物も多い

深海生物には透明な身体を持っているものも多く存在します。

これは地上や表層の海域と異なり、色素を持つ理由がないからです。

地上や表層の海域に生息する生き物や植物の場合は「紫外線から身を守る」「光合成をする」「繁殖のために異性へアピールする」といった理由から様々な色素を持っています。

しかし、深海生物にはこうした理由がないため、無駄な色素を排除しながら進化を遂げたと考えられています。
す。

日本の食卓に並ぶことが多い深海生物

深海生物というと見たことがない形をしているものを想像しがちですが、日本では深海に住む魚を食材として扱うことが少なくありません。

たとえば先ほども少し触れたキンメダイも深海魚の一種です。

また、マダラ・アンコウ・キンキといった魚も深海に住む生き物の仲間となっています。

ほかにもメジャーな食材ではサクラエビなどの名前が挙げられますが、こうして考えると深海生物が少し身近に感じられるかもしれません。

まとめ

まだまだ解明されていない部分が多い「深海」に関する情報をご紹介してきました。

ご覧いただいた通り水深200メートルよりも深い海域を深海と呼びますが、そんな深海の中にも色々な区分があります。

また、独自の特徴を持つ深海には独自の進化を遂げた生物たちがたくさん存在していて、これからも新しい発見が期待されています。

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