高潮とは?起こる原因や対策を解説!観測史上最大は何メートル?

サーフィンをする人もそうでない人も、台風などが発生したときにおける高潮には十分に注意をしなければいけません。高潮というのは便宜上、津波とは異なる自然現象なのでついついその言葉から軽く見られがちです。

しかし、高潮も津波も原因が違うだけで海水が猛威を振るうことに違いはありませんので、正しい知識と対策が必要となります。もちろん高潮のときのサーフィンというのは非常に危険ですので、サーファーの方は特に高潮についての知識を持っていることが大事です。

ここでは、そんな高潮についての発生メカニズムや対策をご紹介していきますので、ぜひ参考までに最後までご覧になっていってください。

高潮とは?

高潮というのは、海水面がいろいろな要素によって普段の標高0メートルから上がった状態のことを指します。まず高潮と津波の違いから説明しますと、津波は地震などの外的要因から発生するものに対して、高潮は普段の潮の干満の差によっても発生するという部分が大きな違いに挙げられます。

また、津波はひとつの原因で発生をして、その後波の動きがだんだんと収まるのに対して、高潮は潮の満ち引き、風の強弱、気圧の動きなどさまざまな要素によって持続するという部分も特徴のひとつです。そのため、高潮の注意報などが出た場合は、長時間の避難が必要となり、時間の経過を待つことが最優先されます。

さらに、高潮の特徴としては海岸線部分が湾状になっているとその威力を増すという性質を持っていて、特に日本では東京湾や大阪湾、伊勢湾といった地域で過去に何度も大きな災害を記録しています。(昭和34年に発生した伊勢湾台風の時の高潮3.89mというのが観測史上日本最大)

これは気圧低下によって高まった潮汐が、風によって湾口から湾奥部によって押し寄せられ、その高さを増すことが原因とされていますが、ほかにも湾状の海岸には河川からの水が多く滞るため海面が上昇しやすいからと言えます。このように日本では高潮が発生する条件(台風・湾状の地形・河川の多さ)が揃っているため、高潮についての正しい知識を持つことは非常に大切なことです。

そこで、次にもう少し詳しく高潮の発生原因を見ていきたいと思います。

高潮の原因は?

高潮の発生原因には「気圧の低下」と「風の吹き寄せ」という2つがあります。どちらも高潮が大きくなるのに深く関係していますので、それぞれの特徴を見ていきましょう。

気圧低下

まず、高潮の直接的な原因はこの気圧低下です。普段、私たちが見ている海というのは、1気圧= 1,013hPa(ヘクトパスカル)の状態の海となり、その通常時の海面を標高0メートルと呼んでいます。しかし、この気圧が低下すると周囲の空気を海面に押し付け、その分周りの海面を上昇させることになるのです。

これが単純な高潮のメカニズムと言えるのですが、では気圧がどれくらい下がると海面が何センチほど上がるのか?答えは1ヘクトパスカルに付き、1センチ海面が上昇することになります。つまり、気圧が960ヘクトパスカルまで下がった場合は、

1気圧=1,013hPa-960hPa=およそ53センチ

だいたい50センチ以上も海面が上昇することになり、これが高潮となるわけです。ちなみに平成3年におきた日本の台風では930ヘクトパスカルといった超低気圧も記録されていますので、これだけでも1メートル弱ほどの高潮が発生する計算になります。そしてこの上昇した高潮の勢力をさらに増すための働きというのが、風の吹き寄せです。

風の吹き寄せ

高潮はまず低気圧によって引き起こされ、その後にこの風の吹き寄せによって破壊力を増していきます。風の吹き寄せとは何かと言いますと、海面のうねりなどによって発生する暴風のことです。主に高潮が発生する条件といわれる台風時には、秒速17.2メートル以上の風が吹いていて、この暴風が高まった潮汐を後押しすることで高潮をさらに大きなものへと発達させていきます。

先ほども触れたように、この風の吹き寄せは湾状の地形で最大の威力を発揮し、湾口の広い部分から狭い部分に吹くにつれて、風の力をあますことなく高潮に伝えてしまいます。そして高潮は海底の浅いところでもその高さを増すため、特にV字状になっている遠浅の湾などはもっとも高潮の被害が出やすい地域と言えるでしょう。

さらに台風による河川からの水量の流入が湾内部に起きると高潮は増長され、被害も大きくなりやすいとされています。よく、台風のときに河川沿いから海岸線沿いにかけて台風高波・高潮注意報というものが発令されますが、これは上記のメカニズムによって発生した高潮が陸地にまで上がってくる恐れがあるからです。

なお、この高潮発生時に満潮を迎えたタイミングがもっとも波の高さが大きくなるとされ、日本では先ほど触れた伊勢湾台風で4メートル弱、アメリカやメキシコでは9メートル近くの高潮を観測したことがあります。9メートルの高潮というのは、もはや津波とまったく変わりませんので、至急非難が必要なレベルです。

このように高潮は自然に発生するものではありますが、その対策を間違えると命に関わる問題となりますので、その対策方法をしっかりと知っておかなければなりません。

高潮の対策とは?

それでは高潮に見舞われた際にはどういった対応をとればいいのか?その高潮対策について説明していきたいと思います。といっても高潮は自然災害のひとつとも言えますので、個人でおこなうものと国・自治体がおこなうものの2種類があります。それぞれにおける対策をちゃんと確認しておきましょう。

個人としての対策

まず、各家庭や個人が取れる高潮対策としては、とにかく安全な場所まで避難をすることです。海岸線にお住まいの方であれば、海の近くに高潮の潮位を示した警戒ラインなどを見たことがあるかと思います。高潮の潮位ラインが引かれているということは、過去にその付近まで波が押し寄せてきたということになりますので、必ず避難が必要な対象ということです。

また、時間があれば家屋への浸水を考えて自宅周りに土嚢などを設置することも忘れないようにしましょう。命が助かったあとでも、自宅が浸水してしまうとライフラインが絶たれてしまい、生活が成り立ちません。そして、普段から最低限持ち出す必要があるものの場所は把握し、いざというときには持って逃げられるようにしておくことも重要です。

国・地方公共団体としての対策

個人の対策に対して国や地方公共団体における高潮対策というのは、かなり大掛かりなものとなります。たとえばスーパー堤防と呼ばれる防災施設の建築や、地下鉄に高潮が浸水した際における排水設備の充実化などが挙げられますが、どれも非常に大切なことです。

さらに避難経路の確保や高潮災害時における備蓄品の支給方法など、マニュアル化すべき点は山ほどあります。こうした国・地方自治体の努力なくして我々の生活は守られませんので、政治の仕組みや人選について日本人はもっと学んでおかなければいけません。

高潮でのサーフィンは危険!

当然ですが高潮の注意報が出ているときにサーフィンをするのは大変危険です。サーフィンは基本的にひとりで楽しむものではありますが、あなたがもし高潮にさらわれてレスキューに助けられることになると多くの人々が動くことになります。

その間にもしかしたら別の命を助けられたかもしれないと考えると、自分がサーフィンをしたいという気持ちだけで動くのが恥ずかしくなるはずです。こうした考え方からも高潮という条件下でのサーフィンは自重してもらいたいと思います。

高潮について知っておこう!

高潮についてご覧いただきましたが、普段なんとなく高波・高潮注意報を見聞きしていた方にとっては意外な事実がたくさんあったかと思います。高潮は大きく発達をすれば立派な自然災害のひとつとなりますので、海岸線沿いに住む方や海によく行く方にとって今回の内容は知っておかなければならない知識と言えるでしょう。

ぜひこうした高潮の安全対策の部分もよく考えて、高潮のときに適切な行動を取れるようにしておいてください。

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