土用波とは?いつ来る?サーフィンは危険な場合も…

サーファーにとって夏は絶好のシーズンなのですが、ひとつだけ注意しなくてはいけないものがあります。それが「土用波」です。聞いたことがある人もいるかもしれませんが、これは夏に起こる特徴的な波の形であり、通常よりも遥かに大きな波がやってくることを指します。

しかし、この土用波だけ何故特別大きくなってしまうのか?また、土用波が発生するタイミングというのはいつなのか?そんな疑問が浮かんでくるかと思いますが、ここではその答えをひとつずつご紹介していきます。

ちなみに、土用波は上手く捕まえれば最高のサーフィンが楽しめますが、場合によっては波に飲まれて命の危険がある場合もあります。土用波についてのきちんとした知識を持った上で、サーフィンをすることが大切です。

土用波とは?定義は?いつ来る?

土用波というのはその名前の通り「土用」の時期に訪れる波のことを指します。日本において土用というのは年に4回あるのですが、それぞれ「立春・立夏・立秋・立冬」といった暦から遡って18日間ほどが土用期間の定義です。

そのため、春の土用や冬の土用といったものが存在するわけですが、土用波という言葉が表しているのは「夏の土用」期間となっています。つまり立秋から遡って18日間程度は土用波が発生する可能性があるということです。この期間が実際いつくらいを示しているのかといいますと、

「7月20日頃から8月1週目まで」

となりますので、この期間にサーフィンもしくは海水浴に行かれる方は注意が必要です。だいたいいつくらいに土用波が来るのかが分かったところで、次にそもそも「土用波」とは何なのか?という部分をご説明していきましょう。

土用波というのは通常の波よりも大きく、また波の幅が広いものを指しているわけですが、元々は遥か沖合で発生するものです。7月~8月前後というのが台風シーズンであることは皆さんご存知かと思いますが、この台風の影響によって、遠く離れた太平洋沖合などで発生した波が段々と威力を増してやってくるのが土用波となります。

そのため、サーフィンや海水浴を楽しんでいる海岸自体はまったく穏やかな波なのに、突如として大きな波がやってくる可能性があるわけです。これは波が伝播されるのに時間が掛かるからであり、さらに時間を掛けてやってきた波は小さな波を飲み込みながら発達していくという性質があるため、結果として大きな土用波というものが生まれるという仕組みになっています。

分かりやすく言えば、1日前に太平洋やフィリピン海沖で台風が発生したとして、日本に台風自体は上陸しなくても、その影響で1日後の今日に大きな波として太平洋側沿岸に到達する(している)のが土用波です。

ここまでで、土用波がどんな仕組みで発生して海岸までやってくるのかが分かったかと思いますが、そもそも通常時の高波とどう違うのか?という点も気になるポイントです。そこで次に土用波と普通の波の違いについて説明していきたいと思います。

土用波と普通の波の違いは?

土用波が台風のパワーを利用して発生する大きな波だとすると。普通の波というのは通常の風の力で生まれるものを指しています。通常の波は海面に吹く風が水面を揺らすことによって発生するので、土用波と違って比較的穏やかかつ頻繁に起こるものです。

たとえばサーフィンをする際、海を見ていて断続的に波がやってくるときがあるかと思いますが、それは普通の波の部類に入ります。対して、それまでまったく大きな波が来ていなかったのに、いきなり「胸や肩までのサイズ」のものがやって来たとしたらそれは土用波の可能性があります

これはそれぞれが発生するメカニズムが違うことからも分かるので、次にその特徴を見ていきましょう。

普通の波

風の力が主な発生源で、そのほか塩の満ち干き(引力)などによって発生する。そのため頻繁に発生して、小さな波が幾重にも連なってやって来ます。(ある程度規則的に訪れるのが普通の波ということです)

土用波

気圧が下がり、台風が発生することによって海面が揺れ動き、その力がうねりとなって徐々に伝播され、遠くの海域まで広範囲に渡って伝わる。このことからも分かるように、波が発生するときのパワーがまったく違いますので、遠くの沖合で発生したものでも充分な大きさを持って日本の海岸線に辿り着くわけです。

土用波はその大きさからサーファーにとっては「チャンス」でもあるのですが、そんなことを知らずに海岸線で遊んでいる方にとっては非常に危険な波でもあります。毎年夏になると、海水浴を楽しんでいた方が急に「高波にさらわれた」といった事故のニュースを聞くことがあるかと思いますが、その中には土用波も含まれていることでしょう。

また、防波堤で釣りなどを楽しんでいる方が、「逃げ場がなく波にさらわれてしまう」というケースというのもありますので、こうした情報をきちんと知った上で夏のレジャーは楽しんでもらいたいと思います。

関連記事:波のうねりとは?風浪との違いは?サーフィンで知っておきたい波のこと!

土用波のサーフィンは危険な場合も…

土用波はサーファーにとってチャンスと書きましたが、一概にはそうとも言い切れない部分もあります。これは自分のスキルや経験よりも大きな波を前にして、失敗するだけならまだしも波に巻かれて溺れてしまうという可能性があるからです。

特に普段あまり波が立たないエリアでサーフィンをしている方は、なおさら注意が必要となります。それまで穏やかだった波に油断して、沖で待機をしているときに突然大きな波がやって来たら対処できますか?

どんなに実力のあるサーファーだとしてもこうした事故というのは起こり得るものですから、土用波の時期には特に警戒をしながらサーフィンを行わなければなりません。ちなみに、土用波というのは遠めに見ただけではその存在を確認することは難しく、いつやってくるのか分からないというのも特徴のひとつです。そのため、土用波の形を理解しておき、大きな土用波が来る前にあらかじめ対応しておくことが必要となります。

土用波の形

土用波と普通の波では少しその形が違ってきます。普通の波は風に煽られて発生しているので、トップが三角形でシャープな形をしているところが特徴です。

対して土用波はトップが丸みを帯びていて、幅が広いところが特徴となっています。波を見ていて、普段の波とはちょっと違う形をしているのでは?と感じたのなら、それはもしかしたら土用波がやって来ている証拠かもしれません。

土用波はやって来る間隔が長い場合がありますので、先に小さめの波が辿り着いてから大きなものがやって来るということも考えられます。そのため、こうした波の形をよく見ておくことも、サーフィンを楽しむ方にとっては必須の知識と言えるでしょう。

土用波は要注意な場合も!

夏の土用の時期にやって来る「土用波」についてご説明してきましたが、いかがだったでしょうか。土用波は普通の波と違って台風が発生したときのエネルギーを、波を動かすパワーに変えてやってくるものです。

そのため、普段見ているような大きさよりも倍以上のサイズで海岸まで到達するケースがたくさんあります。安全にサーフィンを楽しむためには、この夏の土用の時期(7月後半から8月中旬もしくは台風の発生時期によってはそれ以降も)は特に注意が必要となりますので、ぜひ覚えておきましょう。

土用波による事故を回避するには、普段からしっかりと波の形や間隔を把握し、いつもとはちょっと違うなと思ったら無理せずに浜まで戻ることが第一です。

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