ここではアウトドアブランドとして有名な「パタゴニア」が手掛けるビールについてご紹介していきます。
とはいっても、ただビールの宣伝をするわけではありません。なぜパタゴニアというアウトドアブランドがビールを作っているのか?また、その原料となる穀物にはどういった意味があるのか?
そういったところにスポットライトを当てながら、パタゴニアがおこなう社会貢献活動を知っていってもらえればと思っています。
パタゴニアが販売するビールとは?
パタゴニアはアウトドアブランドですが、その中には食料品を専門に扱う「パタゴニアプロビジョンズ」という事業も存在します。
このパタゴニアプロビジョンズで手掛けているもののひとつが「ビール」です。パタゴニアが販売するビールの大きな特徴は、原料に多年草穀物「カーンザ麦」を使っている点です。
通常、ビールには二条大麦という品種が使われます。これは国産ビール会社のほとんどで使用されている麦の品種です。
しかし、パタゴニアではこの二条大麦を使わずにカーンザ麦という品種を使っています。なぜカーンザ麦という品種を使っているのか?それはパタゴニアが「通常の麦より、カーンザ麦の方が地球環境を守るために適している」と考えているからです。
カーンザ麦というのは多年草に分類される穀物なので、毎年その根っこを刈り取らなくて済むという特徴があります。そして、毎年根っこまで刈り取らなくて済むということは「労働コストの削減」に繋がるのですが、それ以上に「土壌の改善」に大きな役割をもたらすと考えられているわけです。
刈り取られずに残ったカーンザ麦の根っこは他品種の麦の根っこに比べて長く成長します。その長い根っこは土壌に炭素を取り込む力を持っていて、空気中の二酸化炭素濃度を下げてくれます。
このサイクルを利用することで地球における温暖化問題を改善しようと試みているのがパタゴニアです。仮に将来、ビールの主要原料がカーンザ麦に代わったとすると、多くの地球環境問題が改善されるかもしれません。
そういった地球の未来を考えながら、パタゴニアではカーンザ麦を使ったビールの生産をおこなっているというわけです。
パタゴニアが販売するビールは2種類
パタゴニアが販売しているビールには2種類のものがあります。どちらも名前に「ロング・ルート(長い根っこ)」という言葉が使われている点が特徴的です。
ロング・ルート・ペールエール
こちらのロング・ルート・ペールエールは伝統的なペールエール製法を使ったビールで、グレープフルーツのような爽やかな香りが楽しめるようになっています。
ちなみにこのビールは世界で初めてカーンザ麦を使って作られたビールです。環境問題に本気で取り組んでいるパタゴニアだからこそ作れるビールとも言えるでしょう。
ロング・ルート・ウィット
ペールエールよりも飲みやすい味を追求して作られたのが、こちらの「ロング・ルート・ウィット」です。オレンジピールやコリアンダーなど、ベルギービールの製法に使われている材料・技術を取り入れたものとなります。
スッキリとした飲み心地が楽しめるビールですが、もちろんこちらも主原料はカーンザ麦です。
実際に飲んでみた感想
どちらも一般的なクラフトビールのような味わいで、普通のビールとの大きな違いは感じず、美味しく飲めます。青缶のほうはフルーティーな味わいが特徴的で味もしっかりしているのでビールが好きな人は好むと思います。白缶のほうは青缶よりもスッキリしていて飲みやすく、クセがないので万人受けしそうです。
パタゴニアの社会貢献活動
パタゴニアはこれまでに多くの社会貢献活動をおこなってきている企業です。特に地球環境問題に取り組むことはパタゴニアの創業理念といってもいいのですが、その活動の一端には日本も含まれています。
一例を挙げると、パタゴニアは長崎県東彼杵郡川棚町川原地区に建設される「石木ダム」に関するドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」(2018年公開)をスポンサードしていました。
この映画は、簡単に言えば「本当にこのダムの建設は必要なのかどうか」というダム建設の是非を問う映画です。パタゴニアは無駄な開拓が進む土地活用の在り方を通じて、地球の環境問題を色々な人に考えてもらいたいと思っています。
そうした取り組みのひとつが、環境問題を訴える映画のスポンサードであったりするわけです。
パタゴニアのビールを味わってみては
パタゴニアが販売するビールとその企業理念に関する話をしてきました。
アウトドアを楽しむということと、地球環境を守るということを同義に考えるパタゴニアだからこそ作れるビールをぜひ一度味わってみてください。